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史と里奈(4)
里奈の必死な表情は、洋子も笑ってしまう。
「あら、里奈ちゃん、史君に何か作ってあげたいんだ」
「どうするかなあ・・・」
洋子としても、史と里奈の「ちょっと親密風な雰囲気」は、ちょっとジェラシーである。
里奈の想いは理解できても、意地悪の一つもしたくなるのである。
洋子が、返事をためらっていると、奈津美も結衣も彩も寄ってきた。
「うーん・・・どうしようかなあ、教えてあげてもいいけれど」奈津美
「私も史君が可愛いんだよねえ・・・」結衣
「そう簡単にはねえ・・・」彩
どうやらアルバイトの女子たちも、意地悪気味である。
共通しているのは「私も史君に何も作って上げていないのに」なのである。
そんな状態となり、里奈はますます焦る。
「ただ、少し料理を教わりたいだけなのに・・・」
「そうなると・・・女だと難しいかな」
洋子はそれでも大人。
里奈にちょっと耳打ち。
「わ!それって本当ですか?」
少し焦れていた里奈の顔が、パッと輝いた。




