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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史と里奈(2)

「え?私のために?」

里奈は、本当にドキドキしてしまった。

それに史にお礼を言われて、しかもケーキまで焼いてもらうなんて、全く考えていなかった。

そもそも、史が里奈と同じ柔道部の治樹に怪我をさせられ、その「罪滅ぼし」のために、史の登下校に付き合ったのだけど、本心は史のことが本当に好きなのである。

ただ、史は学園内でも超人気者、史をゲットしようと狙う女どもは、数え切れない。

そんな中で、登下校に付き合っている里奈は、「幸せの極み」なのであって、まさか「お礼」などは、考えていなかったのである。


「えっとね、母にも手伝ってもらってね」

「イチジクのパウンドケーキを焼いたの」

「一度、食べたことがあるかもしれないけど」

「フレッシュバターとシナモンの配分を少し変えたよ」

史が、そんなことを言っていると、洋子がケーキと紅茶を持ち、テーブルの上に置く。


「・・・史君・・・」

「うれしいよ・・・」

里奈は言葉の通りである。

本当にうれしかった。

涙も出てきてしまった。

フォークを持つ手も震えている。


涙でグジュグジュになりながら、里奈はケーキを一口食べる。

しかし、一口では、止まらなかった。



「え・・・マジ?」

「何?この美味しさ!」

「うーーー美味しすぎ!」

「恥ずかしいけれど・・・食べるの止まらない!」

結局、里奈はあっという間に食べ終えてしまった。

真っ赤な顔は、ますます真っ赤である。


「うん、私も少しもらったけれど」

「さすが、あの美智子さんの子供だね、味覚はすごいね」

「フレッシュバターを増して、生地全体のなめらかさと風味が加わって」

「シナモンの香りの、高貴さも加わった」

「絶妙です」

洋子も、うれしそうな顔である。



「・・・レベル高い・・・」

「超有名パテシィエの洋子さんが、そこまでほめる」

「私も、料理なんとかしないと」

里奈には、新たな不安が持ち上がっている。

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