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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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里奈の不安(3)

一日の授業が全て終了、史は新聞部へ、里奈は柔道部、それぞれの部活に行くことになる。


「ねえ、史君、気をつけてね」

里奈は、そう言おうと思ったけれど結局口に出すことはできなかった。

それにそもそも、「何に気をつけるの?」と聞き返された場合、どう答えていいのかわからない。

まさか、「超グラマー良香さんに、誘惑されちゃダメ!」などと言うのも変だと思うし、史に「え?何それ?」と言われても返す言葉がないのである。


「うーーー不安だ・・・」

里奈は、柔道部で練習をしていても、史と水泳部の様子が心配でならない。

おまけに、こういうアセアセの日に限って、キャプテンの野村が「大会を目指して」の打ち合わせを、練習終了後にやると言い出した

「もう!面倒な!」

「時間かかるし、そうなると史君は待ちくたびれて先に帰っちゃうし」

「・・・史君に・・・嫌われちゃうって・・・」

「これ、ヤバイって・・・」

里奈の不安は、マックスなほどに増幅する。



里奈が、ようやく練習と打ち合わせが終わり、校舎の玄関口に出ても、やはり史はいない。

「そうだよね、一時間も遅いもの」

「あのアホキャプテンの野村め!」

里奈は、ついつい文句を口に出すけれど、どうとなる話ではない。


「うーーー」

「泣いちゃう・・・」

そんな状態で、肩をガックリ落として校門を出ようとすると、里奈の肩をポンと叩く人がいる。


「え?」

里奈が驚いて振り向くと、立っているのは史の姉の由紀。

そして声をかけられた。

「史を探しているんでしょ?」

「史は、今、カフェ・ルミエールにいるって」

「ラインで里奈ちゃんに連絡したらしいけれど」


「あれ?」

「あ・・・見てなかった」

驚いた里奈は、アセアセでスマホを確認。


「ほら!急いで!」由紀


「はい!」里奈

由紀と里奈は、走り出した。


由紀から走りながら、もう一言二言

「史ね、水泳部の取材の後ね、良香に迫られて、走って逃げたんだって」

その言葉と同時に、里奈は走るスピードをメチャクチャにあげた。

おそらく不安が解決したのだろう。

由紀も追いつけないほどである。


「全く・・・不器用な二人だねえ・・・」

「ああ、アホの史だから、仕方がないか」

「でも、史なんかの、どこがいいんだろう」

由紀は、首を傾げた。

走るのも面倒になった。


「でも、里奈ちゃんが妹ならいいなあ」

「少なくとも、史よりは素直だ」

「あのアホの母美智子でさえ、お気に入りだし」

由紀も里奈が気に入っているようである。

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