表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
756/760

史の初リサイタル(7)

史への花束贈呈も全て終わり、大旦那が舞台袖に立った。

華蓮が、アナウンスをする。

「それでは皆様、長い間ご清聴いただき、ありがとうございました」

「ただいまより、当ホールのオーナー近衛よりご挨拶を申し上げます」


大旦那は、ゆっくりとステージ中央に進み、史としっかり握手。

そして、客席に向き、深くお辞儀、挨拶をはじめた。

「本日は、我がホールの初めてのリサイタルをご清聴いただき、誠にありがとうございました」

「また、本日、ここでリサイタルをした史も、初めてのリサイタルになります」

「そして、皆様、ご承知の通り、この史は私の孫になります」


史は、恥ずかしそうな顔で、大旦那の話を聞いている。

大旦那は挨拶を続ける。

「史は、本当に幸せ者です」

「こんなに熱心に聴いてくれる皆さまに支えられ」

「いろいろと、苦労もありましたが、本当に皆さまに支えられ・・・」

ここで、大旦那の眼尻に涙が浮かぶ。


舞台裏のカフェ・ルミエールの面々、里奈、父晃、母美智子、姉由紀も潤んでいる。

また、聴衆のほとんどが、史の今までのことを知っている人ばかり。

目がしらを抑える人も、多々いるようだ。


「史は、これから、音楽家としての道を歩きます」

「まだまだ、成長するよう、本人も努力と研鑽、そして私たちも懸命に支えます」

「聴衆の皆さま、是非」


大旦那は、ここで一呼吸。

そして、より大きな声。

「皆さまも、是非、この音楽家を末永くご支援をお願いいたします」


史と大旦那は、再び客席に深くお辞儀。


聴衆全員が立ち上がった。

そして、本当に大きな拍手。


史も、感動したらしい。

その瞳に涙が浮かんでいる。



舞台裏では、奥様が首を横に振る。

「あの人、用意した原稿の半分も話せない」

「でも、その方が気持ちが伝わる」


カフェ・ルミエールの面々は、それぞれ感激している。

マスター

「大旦那らしいな、最後は簡潔に、気持ちをそのまま伝える」

涼子は、祥子を抱いて、いつのまにか舞台裏に。

「ねえ、祥子、史兄さんの初リサイタルなの、かっこいいねえ」

祥子は、ニコニコとしている。


洋子も泣いている。

「いいなあ、史君、史君が珍しく涙ためている、きれい・・・」

奈津美も、ウルウル。

「こういう場面に立ち会えて幸せ、史君、ありがとう」

結衣は、何度もハンカチで顔を拭く。

「泣き過ぎた、カフェ・ルミエールに勤めてよかったなあ、ずっといたい」

彩も同じようなもの。

「早く戻ってきて、握手したい、アイドルだもの」

道彦は、うれしそうな顔。

「立派な弟って感じかなあ、今度は兄貴の役割をしよう」

亜美も、涙をためている。

「うん、可愛い弟だよ、支え続ける」


奥様が、里奈を手招きした。

そして耳元で何かを告げる。

里奈の顔は、本当に驚いたような感じ。

そして、本当にうれしいのか、泣き出してしまった。

奥様は、その里奈をしっかりと抱きしめている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ