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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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奈津美の悩み(4)

史も由紀も次のケーキ、モンブランに進んだ。

奈津美も洋子も全く形は同じである。

「うん、ここでもはっきりする」

史は、「違い」に確信を持ったのか、深めに頷いた。

由紀は、奈津美のモンブランと洋子のモンブランを、交互に食べている。

「そうか、おこがましい話なんだけれど」

フンフンと頷いている。


最後のケーキのイチジクのタルトは、タルト生地の上にアーモンドクリームを詰め、その上に皮を剥いたイチジクをカットして焼き上げたもの。

「これだと、あまり違いがわからない」史

「どっしりとした感じは、奈津美さんかなあ」由紀

そんなことを言って、三種類のケーキを食べ終えた。


「それで、どういう違い?」

洋子は、史と由紀の顔を見た。

奈津美は不安げな顔になっている。


「こういう言い方が、あっているかどうかなんですが」

史の顔は、真面目な顔になった。

「あの、シュークリームとモンブランでわかったんですが」

「口どけが、洋子さんのは軽みがあって、舌の上で華が開くような幸せを感じます」

「奈津美さんのは、少し重ためで、美味しいけれど、どっしりというか、濃厚な感じです」

「最後の焼きタルトになると、ほとんど同じです」


由紀も続いた。

「私も史と全く同じ」

「奈津美さんのクリームとか、モンブランがどっしり系なのは・・・」

由紀は、奈津美に頭を下げた。

「おそらく、木村和菓子店の味というか、そのどっしり系の味がしみ込んでいるのかなあと」

「最後のタルトは、全くと言っていいほど、同じです」



「・・・さすが、美智子さんの子だ」

二人の感想を聞いて、洋子は舌を巻いた。

「うん、そうなると、クリームの泡立てかなあ」

奈津美は、素直にメモを取り、考えはじめた。


「うん、奈津美さんは、丁寧だから、少しやりすぎかも」

「間違いではないけれどね」

洋子は、奈津美の肩をポンと叩いた。

そして、結衣に声をかけた。

「冷蔵庫から、出してきて」


結衣は、すぐに持ってきた。

紙袋を開けると、シュークリームが出てきた。


「うん、これが伝説の職人美智子さんのシュークリームだよ、食べてみて」

洋子は、まず奈津美にシュークリームを渡す。


「うわ!何?これ・・・」

奈津美は、その目を丸くしている。

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