珈琲カクテル
夜9時、カフェ・ルミエールは、いつもの賑わい。
マスターと美幸は、鷹司京子、京極華蓮と話をしている。
マスター
「京子ちゃん、順調みたいだね、リサイタル楽しみだよ」
京子は、頷く。
「いえいえ、皆様のご協力で」
美幸はうらやましそう。
「いいなあ、史君のお世話なんて、一緒に住んで、ピアノも聞けて」
京子は、真顔。
「責任重大な感じです、何しろあれほどの才能ですもの」
華蓮も、京子と同じ考え。
「そうだよね、ファンとして見ているなら、可愛いとか素敵ですむけれど」
マスターも頷いた。
「管理するんだからなあ、スケジュール管理、あちこちとの折衝、史君ならではの健康管理とか気持ちの管理」
京子
「一族をはじめとして、みんなの期待が高いからね、史君」
華蓮
「京子ちゃんが、いちばんしっかりしているからと思ったの」
「私だと、甘やかしそうなの」
マスター
「由紀ちゃんも、不安のあまり、ゴチャゴチャ言ったんだよね」
美幸
「史君も、それは理解しているみたいですよ、でも、表面的には文句を言い合う」
華蓮は、少し笑う。
「洋子さんも言っていたけど、同じ顔して文句を言い合うのが面白いって」
様々、史に関する話題が続く。
マスターが珍しく全員に珈琲を配る。
京子は目を丸くした。
「え?お酒の店で珈琲?でも、すごくいい香り」
華蓮は、一口飲んで、「え?」と言う顔。
「・・・甘いお酒入ってる・・・でも、その前に珈琲もマジに美味しい」
美幸が解説する。
「フレンチプレスで珈琲を淹れて、そのなかにアイリッシュミストというウィスキーを淹れました」
「アイリッシュミストは、蜂蜜入りのウィスキー」
京子は、目を閉じて味わう。
「ほんと・・・これ・・・美味しい」
「ホッとするし、またウィスキーの香りと蜂蜜の甘味もブレンドされて」
「魅惑の珈琲カクテルって感じかな」
華蓮が、京子の脇をつつく。
「こういうの飲めるんだから、こっちに来てよかったでしょ?」
京子は、また一口飲んで
「そうねえ、加奈子ちゃんも来るしね、楽しくなりそう」
マスターがひとつ提案があるらしい、全員の顔を見て
「こっちでも、パーティーしようか、史君のリサイタル記念で」
華蓮
「大賛成、内輪でいいよ」
京子
「史君にもピアノを弾いてもらってね」
美幸
「由紀ちゃんにも、歌ってもらうかな、合唱部だから」
珈琲カクテルを飲みながら、どんどん話は盛り上がっている。




