史の初回リサイタルに向けて(3)
史のポスター写真撮影も無事終了、鷹司京子、華蓮、カメラマンの九條美子、そして史は揃って大旦那のお屋敷に、PCで加工した原画を見せる。
大旦那
「ほう・・・さすがプロだなあ、史の顔がますます・・・」
奥様は大喜び。
「これ、額にいれて飾りたい」
史は、恥ずかしくて仕方がないので、横を向いている。
一行は次にカフェ・ルミエールに。
洋子は撫でるように写真を見る。
「う・・・いろっぽい・・・」
奈津美
「洋子さん、ヨダレはやめてください、師匠でもそれはダメです」
結衣は九條美子に画像をねだる。
「はぁ・・・可愛い、スマホの待ち受けにしたいんです・・・」
彩も、同じようなもの。
「スマホにもPCにも背景にする」
文化講座事務局にも見せる。
道彦はうれしそう。
「うん、このポスターは人気がでるなあ、グッズにもできる」
亜美は、史にお願いしている。
「私の両親が史君の大ファンなの、ポスター出来たらサインして欲しいの」
史は、この時点で疲れている。
その後、一行は史の家に。
晃と由紀は不在のため、母美智子に見せる。
美智子も満足した様子。
「上手に撮っていただきまして」
史が珈琲を淹れていると、晃が帰宅した。
晃
「ほお・・・これはなかなか・・・」
晃も、感心している。
少しして、由紀が帰宅してきた。
由紀は玄関の靴の多さに驚きながら、リビングに入って来た。
由紀
「あら・・・これはこれは・・・」
カメラマンの九條美子が立ってご挨拶。
「九條美子と申します、今日は史君のリサイタルのポスター写真取りで」
結局、テーブルの上には、ポスター原画があるので、由紀に隠すことは難しかった。
由紀は、「あ・・・よろしくお願いします、姉の由紀と申します」と、キチンと頭を下げるけれど、どうしても目はすぐにテーブルの上に。
由紀はしばらくポスターをじっと見る。
そして笑い出してしまった。
「マジ・・・七五三の時と同じ顔」
史は、ムッとした。
「その言い方って何?」
由紀は、まだ笑う。
「だって、マジで可愛いもの」
「お人形さんみたい」
「少女漫画の王子様みたい」
美智子が、それに反応。
「そういえば、そうだねえ・・・着せ替え人形って感じ」
九條美子も、乗ってしまった。
「史君のコスプレですか?」
華蓮も笑い出した。
「光源氏風とか?」
ムッとする史、大笑いの由紀、微笑んでいる晃を見ながら、鷹司京子は安心した。
「隠そうと思ったけれど、由紀ちゃんには、どうせ見られる」
「だったら、最初に見せたほうがいい」
「由紀ちゃんの反応が、文句でなくてよかった」
史は、ブスっとして珈琲を飲んでいる。




