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奈津美の悩み(3)
結局、史と由紀でカフェ・ルミエールに行くことになった。
「はい、お待ちしていました!」
史と由紀が一緒に店に入ると、奈津美の元気な声がお出迎え。
「あの・・・これは・・・母からです」
史は、頭を少し下げ、洋子に母からの紙袋を渡す。
洋子は、その中身をチラッと見て、頷く。
そして、取り出して冷蔵庫に入れた。
「それじゃあね、奈津美ちゃんが、少し悩んでいるようなのでね」
「史君と、せっかく来てくれた由紀ちゃんの感性で、奈津美ちゃんのケーキを食べてもらいたいの」
「三種類を食べてもらいます」
「シュークリームとモンブランとイチジクのタルトです」
「参考までに私も同じものを作ったので」
洋子が段取りを説明すると、カウンター前の席に座った史と由紀の前に、三種類のケーキと紅茶が置かれた。
「率直にお願いします」
奈津美は、ちょっと緊張顔。
「はい、出来る限りというか、わかる限りですが」
史は、まずシュークリームを食べ比べる。
由紀も同じで、シュークリームを食べる。
「うん・・・これ・・・」
史はすぐに反応した。
由紀も少し首を傾げている。




