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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
724/760

気づいた由紀(5)

夕方になった。

母美智子は帰って来たけれど、史は帰って来ない。

由紀

「ねえ!史は?この寒いのに!」

由紀としては、史の顔が見たくて仕方ない。

それと、風邪を引きやすい史なので、心配している。


美智子

「史は、大旦那と一緒」

「史の今後のことに関係する打ち合わせ」


由紀は、それでは意味がわからない。

「ねえ、何を隠しているの?」

「しっかり言って!」

ついつい文句口調となる。


美智子は、ヤレヤレと言った顔。

「あのさ、どうして、史のことに口出しばかり?」

「史にだって、大事な用事があるの」

そこまで言って、しかたないと思ったようだ。

「あのね、史は、大旦那の財団というか、一族をあげて音楽家としての史を応援するの」


由紀

「うん、それは知ってる」

美智子

「でね、史はかつて芸能プロダクションの騒動の時にね、大旦那が会長を務める京都の所属させたのは覚えているよね」

由紀

「うん、それがベスト」

美智子

「それでね、音大に入れば、もうプロにしようとね、音大の学長さんにも話をつけたの、大旦那と芸能団体がね」

由紀は頷いた。

「そうか・・・史がプロか・・・アマチュアのレベルではないよね、特にピアノは」

美智子

「それでね、マネージャーが必要なの、史のことを、よくわかったマネージャーがね、今は、その選定をやっている」


由紀は、ホッとした。

「そうか・・・仲間ハズレだったから、乱入しようと思ったけれど・・・」

「話がそのレベルではない」

「乱入しなくてよかった」


そこまで話して、母美智子が、少し寂しそうな顔。

「史ね、なんか・・・変わった」


由紀

「うん・・・私も・・・感じる」


美智子

「別世界の人になるような気がした」

「母親でも、入り込めない世界の人」


由紀の顔も沈んだ。

「史の顔が見たいなあ」

「思いっきり文句を言ってきてもいい、でも見たい」


美智子が、由紀の顔をじっと見る。

「史から話があるよ」


由紀は、ドキンと胸が鳴った。

「え?何のこと?」


美智子は首を横に振った。

「史から言わせる」

美智子は、少し涙ぐんでいる。


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