表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
706/760

史のアルバイト再開

史は、カフェ・ルミエールで珈琲や紅茶を淹れるアルバイトを再開した。

音楽大学には、推薦入学が決定しているし、高校内での試験も終了しているため、史から「すみません、ほとんどアルバイトができなくて」とのお詫びをして、申し出たのである。

洋子は、笑って首を振る。

「仕方ないよ、気にしないで」

奈津美は大歓迎。

「だって史君は珈琲と紅茶の師匠だもの、まず私に淹れて」

結衣は珈琲を淹れる史にピタリと寄り添い、全てをメモに取ったり、動画を撮ったりする。

「あの細い指がセクシーだ」

よくわからない感想を述べるけれど、とにかく熱心に史の淹れ方を勉強する。

彩は、史の手元の作業をする。

カップを温めたり、珈琲豆や紅茶の茶葉をサッと差し出したり。

「うふふ、いいコンビだ、見ているだけの結衣とは差をつける」


さて、店員間でも、そんな元気が盛り上がっているのだから、来店客にはますます評判がいい。


「はぁ・・・美味しい、この珈琲」

「蒸らし方、注ぎ方かなあ、豆がいいのはわかるけれど」

「自分でも淹れるけれど、こんなに甘味が出ない」


学園長も、店に入って来た。

史に注文したのは、コロンビア。

「ふぅ・・・落ち着く、苦みと甘味がほど良くて」

「さすがだねえ、こっちの道でも才能がある」


カフェ・ルミエール文化講座事務局も、史が珈琲を淹れる時間には交代で飲みに来る。

華蓮は目を閉じて味わう。

「マスターのも美味しいけれど、史君のはまた別格、挽いた珈琲にお湯を注ぐ時のふくらまし方が、完璧だからかな」

道彦も感心しきり。

「パリの珈琲とは比べ物にならない美味しさ、水も違うけれど」

亜美は、うれしくて仕方がない。

「可愛い弟ができたなあ、ピアノも珈琲も紅茶も上手」


華蓮、道彦、亜美が帰ると、由紀が入って来た。


洋子が、史に由紀の注文を伝えると、史はカウンターに出てきた。


史は面倒そうな顔。

「自分で淹れれば?」

由紀はムッとした。

「淹れなさいよ、アルバイトなんでしょ?」

史は抵抗する。

「家で飲めば?」

呆れた洋子が史に

「淹れてあげたら?単なるお客として」


史は、洋子に言われたら仕方がない。

由紀に注文されたダージリンを淹れた。

ついでに、洋子、奈津美、結衣、彩の分も淹れた。

洋子

「ふぅ・・・さすが・・・甘味が違う」

奈津美

「茶葉の開く時間をしっかり見切ってる、すごい・・・」

結衣

「美味しい以外に表現がない・・・どうしてこんなに上手なの?」

「弟子入りするかな、ついでにデートをゲットする、これは一石二鳥だ」

となるけれど、


由紀は

「まあまあ、褒めてあげる」

「家でも、毎日私に淹れなさい」


史は、由紀に隠れてブツブツ。

「何のために店に来たの?」

「マジで面倒な姉貴だ」

「これで家に帰ってもいるし、何かと文句ばかり」

「はぁー・・・もう大旦那の家に移っちゃおうかなあ」

史は、ため息をついている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ