京都での新年会兼披露宴(7)
マスターと清のコラボ料理が配られ始めた。
「キャビア アンペリアル」
キャビアを贅沢に使い、その下にはカニと海老のジュレ。
あまりにも美味しいのか、全ての人が目を閉じて味わっている。
「 白トリュフ をマリネしたポテトのカルパッチョ仕立てとフォアグラに」
名前そのものの料理になるけれど、白トリュフの香りがしっかり。
また、フォアグラの味が濃い。
史が一言、「これ、芸術的」とだけ。
これも全員が目を閉じて味わっている。
「紅芯大根と根菜 長崎産のカラスミとホタテ貝のカルパッチョ」
柑橘類の香り がつけられている。
大旦那がポツリ。
「これは、懐石に近い味、和食かなあ、すごいや」
晃は大吟醸を一口。
「これは、お酒に合う・・・」
「半熟卵をホウレン草と 熟成のコンテチーズのムースリーヌにのせたもの」
美智子と涼子は、目をパチクリ。
美智子
「これ・・・マスターの新作?」
涼子
「うーん・・・熟成チーズをあちこち取り寄せていたから」
史は首を傾げた。
「結局、フレンチのコースに和風の技術にしたのかな、ほんのり醤油風味を感じる」
由紀は、史をたしなめる。
「うるさい!細かすぎ!史はゴチャゴチャ言い過ぎ」
加奈子は、史をフォローする。
「まあ、この方が、いいかなあ、作っているうちに、こうなったのかも」
スープが出てきた。
大旦那は、香りだけで中身をあてた。
「スッポンのスープ・・・これは清」
奥様も、にっこり。
「お正月ですねえ、延命長寿の意味もある」
道彦は、目をウルウルとして飲んでいる。
「これ・・・ずっと、飲みたかった」
「焦がれていて、亜美さんと飲みたいなあって」
亜美は、一口飲んで、ため息。
「はぁ・・・幸せ・・・それ以外に・・・ない」
「アワビのステーキ」
華蓮がうなった。
「すっごい、肉厚・・・噛みしめると・・・これ・・・和風?」
「コクもあるんだけれど、いろんな薬味・・・清さんかなあ」
「どこか、スッキリとして」
史は、懸命に考えた。
「きっとコラボだよ、これ、中華の味付けかな」
「アニスをちょっと使っている、ステーキなんだけれどねえ・・・」
「中華の醤油を使っているもの」
また由紀がムッとするけれど、華蓮がそれを察知。
「史君、さすが!今度、一緒に中華料理デートしない?」
史は、ニコニコとなり、由紀はますます気に入らない。
その他、様々な料理がたくさん出され、またすごい香りが漂って来た。
大旦那がニッコリ。
「ふふ・・・マスターの特製ビーフシチュー」
奥様の目が輝いた。
「最後にガツンと、ドッシリ系の味」
晃は、目を閉じ、香りをまず楽しむ。
「あのゴロっとした、大きく切った牛肉の塊が、至高の味」
美智子
「うん、これだけは、和風では出ない味」
涼子
「確かに絶品、手間暇もすごいもの」
披露宴の食事は、圧倒的な感動の中、進んでいく。




