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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の体調不良(4)

史は、冬風邪のひどい状態から、週末の土曜日になってようやく回復の兆し。

食事も、いつもの半分くらいは、食べられるようになった。


由紀が、やはり心配なのか、あれこれと世話を焼く。

「無理しないで、また食事が終わったら寝てなさい」

「甘酒作ったから飲む?」

「みかんとリンゴとどっちがいい?」

わりと頻繁に組の部屋に顔を出すので、史はうれしいような、面倒なような。


「姉貴、そんなに何度もいいよ、今日明日で元通りになる、いや、そうする」

「勉強もたまっているし、ピアノの練習もしないと、本番が近いし」

「さらっておきたいの、寝込んだ時間を取り戻さないと」

やはり、律儀で几帳面な史、少しでも回復すると動き出す。


由紀は、「しかたないなあ、無理しないでね」と一応は定番のことを言うけれど、

「月曜日からの学校も無理しないでね」

「病み上がりで倒れたら、元も子もない」


史も、由紀の珍しい気遣いがうれしいようだけれど、

「来週の水曜は、マラソン大会、それまでにはベストに」

と、ポツリ。


そのポツリで、由紀のやさしかった顔が真赤に変化。

怒っているのがすぐわかる。


「史!このアホ!」

「無理に決まっているじゃない!」

「また、それで倒れたらどうするの!」

「コンサート間に合わないよ!」

「みんなが期待しているの!それを裏切るの?」


まさに聞いている史が「ヘキエキ」するぐらいの大声になっている。


しかし、史は引かない。

「だめ、あの体育講師、棄権とかすると、すっごいイジメするの」

「皮肉はタラタラ、成績を下げるなんて、当たり前」

「そういう人を何人も見ているから」


史は、真っ赤な顔をしている由紀を正面から見る。

「僕は、そんな体育講師に負けたくないの」

「思いっきり走る」

「一番を目指す」


由紀は、また珍しく、史に押された。

「・・・わかった・・・そこまで言うなら」

「私も応援する」

「負けないでね」

これもまた珍しいけれど、ホロッとしてしまった。


史は、由紀に少し笑う。

「姉貴って、泣き虫?」


由紀は、また顔が真赤。

「うるさい!さっさと直して!」

由紀は、泣きながら自分の部屋に戻って行った。


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