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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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洋子の「史独占計画」(1)

洋子は、午前9時に史を呼びだした。

用事としては、「新作ケーキの味見」。

しかし、本音は、「私もたまには、史君の顔を見たい、独占したい」だった。


史が、

「姉貴とか里奈ちゃんも連れて行きましょうか?」

と確認するけれど、

洋子は

「ああ、それより史君の意見が聞きたいの、他の人を連れて来ると、史君はお菓子より、他の人に気を遣う」と応える。

ただ、やはり本音は「史君を独占したい、可愛いから」だけになる。

できれば、奈津美、結衣、彩も「オジャマ虫」なので、追い払いたいけれど、店舗営業中は、なかなか困難のようだ。


さて、そんな状態で洋子がドキドキしながら史を待っていると、定刻の午前9時に店の扉が開き、史が入って来た。


洋子は、うれしくて仕方がない。

「あら、ありがとう!史君」

結衣と彩が声をかける前に、洋子自ら、声をかける。


結衣と彩は、史が来てうれしいものの、それ以上に洋子の赤い顔が気になる。

また、奈津美は洋子の「いつになく明るさ満点の声」で、キッチンから出て来てしまった。


その史が、カウンター前の席、つまり洋子の前に座ると、洋子はますます顔が赤い。

「ごめんね、無理言って、でも、うれしいなあ」

「朝から、史君の顔を見られて最高だなあ」

挨拶は、そこそこで、途中から直接本音になっている。


史は、朝起きてまだ時間が経っていないのか、少しキョトンとした顔。

それでも、

「洋子さんの新作と聞いて、楽しみにしてきました」

「僕も洋子さんの顔が見られて、うれしいです」

ほぼ、社交辞令風には聞こえるけれど、それでも、チョコンと頭を下げる。


その史に、洋子は、また興奮。

「あらーーー!こんな年上のお姉さんに、ドキドキさせないでよ!」

と言いながら、しっかりと史の手を握っている。


結衣は、彩の顔を見た。

「ねえ、洋子さん、おかしい」

彩は呆れた。

「史君・・・どうしていいのか、わからないみたい」


奈津美はキッチンを振り返った。

「おそらく、あの新作ケーキだよね」

「あんなに興奮して、史君にダメだしされると、シュンとなるかも」

ついつい、「皮肉」の一つらしい。


結衣は首を横に振った。

「いや、それが手かも、史君がOKするまで作り直す」

彩は洋子の本音を見抜いている。

「そうやって独占したいのが本音」

奈津美は、ムッとした顔。

「そんなことするんだったら、私も独占したい」


洋子の「史独占計画」は、周囲のお姉さんたちには不評となっている。


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