華蓮と史のデート(2)
史は珍しく、スンナリと家を出ることができた。
それというのも、姉の由紀が「清さんと打ち合わせ」と言い、先に家を出たため。
そうなると、誰からも文句を言われることはない。
母美智子は
「そうねえ、神保町から、歩くの?」
「大した距離でもないか、しっかり味わってきなさい」
程度、史は全く心配する必要がない。
華蓮も予定した時間通りに家に迎えに来たので、少しだけ母をまじえてリビングで雑談後、出発となった。
駅まで歩き、京王線に乗り込んだ時点で、史は、まず華蓮にお礼を言った。
「ありがとう、姉貴に気を使ってもらって」
華蓮はフフッと笑う。
「お姉さんなんて、みんなそんなもの、仕方ないよ」
史は首を傾げる。
「そう言ってもさ、うるさくて仕方がない」
華蓮はまた少し笑って話題を変えた。
「神保町の文房具屋さんでね、時々絵の展示会をやるの」
「そういうのも見ようかなと」
史は、頷き華蓮に尋ねた。
「そうだねえ、カフェ・ルミエールの文化講座は科目が決まってしまったけれど」
「時間とかスペースが空いた時間に?」
華蓮も頷いた。
「特別講座みたいな感じ、定例講座のような毎週、同じ時間ということではなくてね、美術品の展示を講義つきでとか」
史は、面白そうな顔。
「そうなると、いろんなことができるね、美術に限らず」
華蓮は、その史の意見をもっと聞きたい様子。
「史君だったら、美術以外には?」
史は少し考えて
「日本の服装の歴史とか、食事とか食器の歴史とか、日本に限らなくてもいいか」
「でもさ、人が来るかなあ、マニアック過ぎるかも」
華蓮は、少し考えた。
「それは企画次第かな、アイディアそのものは面白い、大旦那が喜びそう」
華蓮と史が、様々話をしていると、都営新宿線は神保町駅に到着した。
華蓮
「まずは、古本屋を歩きながら、神田方面へ」
史
「うん、今日は適当に買うかな」
華蓮
「興味あるな、史君が買う本」
史
「決めていないし、せいぜい500円くらいの本にする」
そんなことを言いながら、華蓮と史は、神保町を歩きだした。




