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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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カフェ・ルミエール文化講座開講記念コンサート(3)

カフェ・ルミエール文化講座開講記念コンサートのアンコール第一曲目。

道彦のトランペット、史のピアノを加えたカフェ・ルミエール楽団の伴奏による、

「アランフェス協奏曲」が静かに始まった。


ステージ袖口には、いてもたってもいられない道彦の婚約者の亜美が胸を抑えて立っている。

里奈が亜美に声をかけた。

「亜美さん、その気持ち、よくわかります」

里奈も、ドキドキしてたまらないのか、胸を抑えている。


前奏が終わり、道彦のソロが始まった。


華蓮

「ふぅ・・・ロマンチック・・・哀感もあるし・・・」

由紀

「ヨーロッパでもアメリカでもない、どこかアジアの雰囲気があって・・・異次元の音楽」

「いろんな想いを含んだ風のような音楽」

由紀

「それでいて星空の透明感もある」

最初は、小声で感想を言っていた華蓮と由紀は、途中から声が出なくなった。

とにかく、自分たちの声が、音楽の邪魔になる状態。


ゆったり、儚くアランフェス協奏曲は進み、終わった。


道彦、史、指揮者の榊原が聴衆に頭を下げると、再び万雷の拍手。

そして、その三人がステージ袖口に戻る前から、「ブラボー」と「アンコール」の連呼になった。


華蓮が史の顔を見た。

「史君、ラスト行ける?」


史が頷くと、由紀が史の前に。

由紀は、珍しく史をほめた。

「今までは良かったよ、何を弾くの?」


史は、そこで少し考えた。

「ドビュッシーかショパンにしようかと思っていたんだけど」

そして、史も珍しく由紀を真正面で見た。

「姉貴、歌う?」


由紀は、慌てた。

「え?何よ!急に!」

「発声練習してないって!」


史は、もう一度、由紀に聞く。

「どうするの?滅多にないよ、こんな美味しい場面」

「姉貴だって、歌は上手って、歌だけはかな」

言い終えて、フフッと笑う。


由紀は、途端にいつもの由紀に戻った。

「何よ!その挑戦的な態度!」

「歌だけって、どういうこと?」

そして簡単に決めてしまった。

「歌うわよ、ちゃんと伴奏して!」


史は、姉の耳元に口を寄せて

「あれでいい?」

由紀が素直に頷くと、史は今度は華蓮に曲目を告げる。


華蓮は、それでニッコリ。

そしてそのまま、客席にアナウンス。

「それでは、アンコールにお応えいたします」

「史君と、そのお姉さんのソプラノで・・・・」


史と由紀は、再び万雷の拍手を受けて、ステージに歩きだした。

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