道彦と史のコラボ(2)
玄関を開けた由紀に、道彦は爽やかな笑顔で、ご挨拶。
「由紀ちゃんだね、道彦だよ、もう十何年も会っていないけれど、すぐにわかった」
「それから、この人は亜美さん、僕の大切なフィアンセ」
亜美が、由紀を見て
「亜美です、よろしくね」
と、頭を下げると
由紀はニッコリ。
「はい、由紀です、よろしくお願いします、道彦さん、お久しぶり」
「それから、道彦さん、亜美さん、まずはおめでとうございます」
史と美智子も出てきた。
美智子
「あがってお話でもと思うけれど、予定もあるんですよね」
道彦
「はい、僕も記念パーティーが近いので、練習をしたくて」
史は、すでに出かける気分。
「じゃあ、道彦さん、亜美さん、さっそく」
道彦も史に頷いた。
「そうだね、あまり時間もないので」
そして美智子に
「こんど、時間がある時に、亜美さんと一緒に来ます」
と、頭を下げる。
そして、道彦、亜美、史が道彦の車に乗ろうと歩き出すと、由紀は我慢できなかったらしい。
道彦に声をかける。
「ねえ、道彦さん、私も聞いていい?」
つまり、一緒に行きたいとの意思表示。
道彦も亜美も笑っているけれど、
史は、嫌そうな顔。
「道彦さんのトランペットを聞きたいのか、シュークリームを食べたいのか、わかりません」
「そんなことより、姉貴の役割の庭の雑草抜きでもしたら?」
美智子も、史の意見に賛成した。
「それから階段の掃除もさぼってるし」
「着付けの練習はしないの?」
「あさって、清さんと、銀座の超高級懐石に行くんでしょ?」
「私、その日は、マスターと料理教室の打ち合わせで、家にいないよ」
美智子の最後の言葉が決定的だった。
由紀は、涙顔。
「うん・・・家にいます・・・」
スゴスゴと家に入ろうとするけれど、その由紀に亜美が声をかけた。
亜美
「ねえ、由紀さん、着付けなら私が教えることもできますよ」
「掃除は、よくわからないけれど」
その亜美の言葉で、由紀の顔がパッと輝いた。
「はい!お願いします!」
「掃除は、帰ってきてからしっかりと!」
由紀は、美智子の「呆れ」と、史の「落胆」の中、結局、道彦の車でカフェ・ルミエールに行くことになった。




