史の別居計画(2)
史は、少し考えて気持ちを固めた。
「わかりました、お願いします」
姿勢もピンと正している。
大旦那は、その史の言葉を聞いた美智子の寂しそうな不安そうな顔を見逃さない。
「美智子さん、これも子供の教育の一環」
奥様は、少し笑う。
「いつかは海外留学なんて言っている史君が、ここのお屋敷で暮らすぐらいで、そんな寂しそうな顔」
美智子も、それを言われると、
「そうですね、いつまでも親掛かりではねえ」
と、笑ってしまう。
大旦那は、また別次元の話を言い出す。
「私たちだって、いずれは京都の屋敷に戻る」
「それだから、ここの屋敷は晃と美智子さんが使うことになる」
奥様は、美智子をしっかりと見る。
「その時には、あなたたちが使いやすいように、しっかりと改装なり改築をして欲しいの、それも今から考えておいて」
そんな話を聞いた美智子は
「やはり・・・そうなるのかなあ・・・でも、こんな広いお屋敷、管理が大変・・・」
と思うけれど、ここでは「いえいえ、まだまだ、ありがたいお話で」と頭を下げるのみ。
そして、史の顔を見ると、史はまた考えている。
史は、ようやく口を開いた。
「お祖父さま、ところで、一度その離れを見たいと思うのですが」
大旦那は「お祖父さま」と言われて、かなりうれしい顔。
「よし、そうだな、それは見ないとなあ、みんなで行こう」
と、いきなり立ち上がる。
これには、奥様も美智子も否応が無い。
結局、四人で離れを見に行くことになった。
さて、大旦那のお屋敷の離れは、広い庭を歩いて、大旦那たちが住む本邸から2、3分の距離。
少しレトロではあるけれど、美しい白塗りの洋館である。
大旦那が説明をはじめた
「部屋としては4室、全て十畳ある」
「周囲の家からも離れているから、防音設備は不要」
奥様
「もともとは、遠方からのお客様が気兼ねがないようにと、作ったけれど」
「今は、時々しか使わないの」
「史君に使ってもらうなら、これほどうれしことはありません」
美智子は、まず内装の豪華さにびっくり。
そして、バスルームとトイレを見ている。
「バスルームもトイレも豪華・・・私が使いたいくらい」
史は、いろいろと見ていたけれど、途中から洋館の前の花壇に注目。
「花を僕も植えたい、トマトとか作ってみたい」
その目を輝かせている。




