カフェ・ルミエール文化講座準備(5)
マスターが電話をかけたのは、大旦那だった。
マスターは単刀直入な聞き方。
「記念式次第のパンフレットのご挨拶文は、もしかして?」
大旦那も、すぐに応えた。
「ああ、私が原稿を作って、少し固すぎたから、史に直してもらっている」
「史は、そういうのは上手だ、晃よりセンスが上だよ」
マスターは、大旦那の言葉に納得。
「そうですね、確かに文章力も相当高い、上手に育てれば、すごい文章をかけるようになる」
大旦那は、「うーん」と唸って、
「ただね、あれほどのピアノを聞くとね、弾くなともね」
マスターは話題を変えた。
「開講記念式の準備も順調です」
大旦那も理解しているらしい。
「ああ、それは華蓮と道彦から、逐一報告を受けている」
「料理もしっかり頼むよ、清と協力して」
マスターが
「はい、わかりました、お任せください」と応えると、今度は大旦那が話題を変えた。
大旦那
「華蓮に耳打ちされたんだけど、道彦に美しい彼女ができたのか?」
マスター
「はい、実は事務局の亜美さんです、すごく仕事ができます」
大旦那は、興味を持った様子。
「一度、見たいなあ」
マスター
「はい、道彦君と亜美さんには伝えておきます」
マスターと大旦那の会話は、そこで終わった。
マスターが、その内容を端的に伝えると
華蓮
「そうかあ・・・史君ねえ・・・確かに文はきれい」
洋子
「読みやすい文を書くよ、あの子」
道彦
「確かに、晃さんとは違うね、晃さんのは少々重い時があるけれど、それは年齢と経験も違うから」
道彦は、そこまで言って、不安気な亜美の顔を見る。
「亜美さん、大丈夫、大旦那のことは、僕たちに任せて」
亜美がコクリと頷くと、また道彦。
「亜美さんは、僕が選んだ唯一の人、そしてここの全員が認めている人」
亜美は、涙目になり、その胸を抑えている。
そんな道彦と亜美の姿を見た華蓮
「そんなね、こういう熱々カップルの心配はいらないって」
「そんなことより、由紀ちゃんに叱られる史君のほうが心配」
マスターは、そこで苦笑い。
「大丈夫とは思うけどさ」
「あまり家庭内のことに、口を出せないしなあ」
洋子は、腕を組んでポツリ。
「そうは言っても、見ていられなくなってきた」
「あれじゃあ、史君が家を出たくなるのも当たり前」
奈津美、結衣、彩も、洋子の意見に頷いている。




