史と由紀の父、晃の登場(1)
カフェ・ルミエールの広報誌づくりは、史の企画書待ちということになり、一応、洋子も落ち着きを取り戻した。
洋子は、そんな話をマスターと涼子、そして涼子の後任となる、美幸に伝えるため、夜のカフェ・ルミエールに残ることにした。
もちろん、史との話の当事者でもある奈津美も、しっかり残っている。
「そうなんだ、ホームページかあ・・・」
マスターもマンザラではないようだ。
「まあ、地域の店なんだけど、たいしてお金がかかるわけでもないしね」
「面白く作ってくれればいいかなあ」
涼子は、すんなりと納得した。
どうやら、史がマスターや涼子に相談する前に、スンナリと話は進んでいる。
さて、そんな和やかな雰囲気の夜のカフェ・ルミエールの扉を開けて、一人の上品な紳士が入ってきた。
「いらっしゃいませ・・・え・・・おや?」
マスターは、その紳士を見るなり、ニッコリである。
「あらーーー!懐かしい!晃さん?」
「あらまあ・・・」
そして、涼子も、大はしゃぎである。
「はい、マスター、涼子さん、確かに、久しぶりです」
その上品な紳士は、ていねいに頭を下げた。
それから、洋子と奈津美、美幸にも頭を下げた。
「それから、洋子さんと・・・奈津美さんと、美幸さんですか?」
「いつも、史と由紀がお世話になっております」
「父の晃と申します」
「え・・・あ・・・はい・・・こちらこそ!」洋子
「あ・・・すみません、よく知らなくて、挨拶も出来ず」奈津美
「・・・どう言っていいのやら・・・これからお世話になります」美幸
洋子、奈津美、美幸は、史と由紀の父の晃の挨拶を受けて、途端に固まってしまった。
そんな三人を見て、マスターと涼子は、ククッと笑う。
「あのさ、史君をそのまま、大人にしたような超美形だろ?それでいて、スーパー人気の大学教授さ、学会でも何度も賞をもらい、本も出し、時々テレビにも出るかなあ」
マスターは、さりげなく、史の父、晃を紹介する。
涼子も懐かしいようだ。
「まあ、美智子さんとのデート話は、本当に妬けたねえ・・・」
「とにかく、若い時から、きれいでさ」
「話も上手でさ」
そんなマスターや涼子の紹介はともかく、洋子、奈津美、美幸は「ほぼ、ウットリ状態」、晃からその目を離すことが出来ない。




