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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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由紀の作法のお勉強(2)

由紀としては、自分が本で読んだばかりの知識をひけらかし、史が「知らない」と言えば、「指導」を施し、スキあらば「ポカリ」を狙っていたけれど、里奈とデートに出かけてしまったならば仕方がない。

少々残念だけど「楽しみは後に取っておこう」で、本を読み進めることにした。


「ふむふむ、まずは会席料理の基本」

「一汁三菜、吸い物、お造り、煮物、焼き物が基本」

「これから始まって、一汁五菜、二汁七菜になると」

とまで、読んで、これもメモしている。


「そうだなあ、大旦那のお屋敷でも食べているだけで、考えたことなかった」

「順番は知っている」

「前菜、吸い物、お造り、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物、酢の物、ご飯」

「止め椀、香のもの、果物、水菓子・・・八寸もあったかなあ・・・お造りの後だった」



そこまで思い出して、由紀は「乾杯」のページに移った。

「最初の乾杯は、お酒を飲める飲めないにかかわらず、全員が酒杯を手にすることが作法、お酒に弱い人は口を付けるフリでもOK」

「洋食はシャンパンだから、乾杯をかわしあう場合があるけれど、飲み干さないこと、後の乾杯が飲み過ぎて出来ない場合がある・・・和食だから関係ないかなあ」

「和食は、飲み干しても、残してもOK」


続いて「前菜」のページ。


「基本は三種、五種、七種か・・・これもメモ」

「作法としては、小鉢に入っている料理は手に持って食べる、これもやっている」

「器を引き寄せる時は、引きずらない、両手で持つ」

「料理と飲み物は交互に、これも普通にやっている」

「一口で食べられない場合は、器の中で切って食べる、当たり前だよね」

「串物は、串から外して食べる」

「豆腐のような柔らかいものは、慎重に崩さないで食べる」

「食べる順番に決まりはないか・・・確かにそれで叱られたことはない」

「食べ終わった器は、お膳の左少し向う側に置く」


由紀には、ここまでは当然らしい。

もう少し読み進めようと思ったけれど、突然母美智子から呼び出しがかかった。

「由紀!お買い物付き合って!」


由紀は、少し面倒な感じ。

「今、お作法の勉強をしているの」

「お母さんだけでいけないの?」


美智子は、そんなことで引かない。

「あのさ!夜でもできるでしょ?」

「いいから、さっさと降りて来なさい」


由紀は、仕方がなかった。

渋々と降りて、美智子に条件をつけた。

「じゃあ、帰りに木村和菓子店のお饅頭買って」

「勉強し過ぎて、甘いものが食べたくなった」


美智子は呆れた。

「あのさ、あなた女子大生だよね」

「それでお饅頭目あてで、お買い物に付き合うの?」


しかし由紀は、美智子に対抗した。

「じゃあ、食べたくないの?お饅頭」


美智子も、そう言われると、否定しない。

それでも、少し考えて

「仕方ないなあ、でもさ、お店の中で食べたい」


由紀も、それでニッコリ。

「うん!出来立てのお饅頭美味しい!」


この時点で、由紀の頭から「お作法の勉強」は、しっかり消え去っている。

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