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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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華蓮と史(1)

史の熱中症は、ほぼ三日で回復した。

そして、史は、どこかに出かけるような雰囲気になっている。


由紀は、それが少し気になった。

「史!どこに行くの?また倒れないでよ」

「まだまだ、すごく暑いんだから!」


史は、そんな由紀が面倒。

「姉貴、うるさい、何でいちいち、そう言ってくるの?」

「どうして、そう上から目線なの?」


ただ、由紀は文句を言い出したらひかない。

「あのさ、史!あなたはひ弱で軟弱なの!」

「ちょっと前まで倒れていて、どれだけ周囲の人を心配させたかわかっているの?」

「涼子さんだって、心配して泣き出しちゃうしさ」

・・・・・・

とにかく、ずっと言い続けるけれど、史は途中から聞いていない。


出がけに「華蓮ちゃんと出かける」とだけ、言い残して出かけてしまった。


結局、ほぼ無視状態になった由紀は、怒っている。

「何だって?華蓮ちゃん?まあ親戚だし大人だからいいけどさ」

「でもさ、華蓮ちゃんは、史だけを誘ったの?」

「私は、置いてきぼり?差別待遇?」

「うーん・・・華蓮ちゃんも華蓮ちゃんだ・・・あんな史みたいなのと出かけて何が面白いんだろう」

怒りは、途中から疑問に変化したけれど、また、こうも考えた。

「まあ、いいや、お土産が無かったら、また史の頭をポカリしよう、それぐらいは役得だ」

何が「役得」なのかは、よくわからないけれど、由紀の怒りはそれで何とかおさまった。


さて、ようやく口うるさい由紀をほったらかしにした史は、華蓮との待ち合わせ場所の、カフェ・ルミエールのビルの二階、文化講座事務局の部屋に着いた。

史が、ノックしてドアを開けると、華蓮がニッコリと出てきた。

華蓮

「はーい!史君、待っていたよ!それで体調はどう?」


史は、キチンと頭を下げる。

「うん、華蓮ちゃん、心配させてごめんなさい」

「かなり回復しました」


久我道彦も出てきた。

道彦も史を見るなり、うれしそうな顔。

「史君だね、道彦だよ」

「ほとんど会ったことはないけれど」

と、史としっかり握手をする。


史も、うれしそうな顔。

「はい、道彦さんは、ほとんど日本にはいなかったんですよね」

「でも、大旦那からお話は、いつも」


道彦は史の目をしっかりと見た。

「将来は、ヨーロッパで音楽とかしたいって話を大旦那とかマスターからも聞いているよ、その時は僕にも声をかけてね」

「かなりの詳しい話もできると思うし、まだ父も母もパリに住んでいるからさ」


史の目が、その言葉で、パッと輝いている。

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