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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史が熱中症でダウン(1)

史は、酷暑の中、高校野球の応援取材後、熱中症状態で帰宅、そのまま食事も取らずに、寝込んでしまった。


姉の由紀は、「呆れてものが言えない」と言いながら、史に文句を言い続ける。


「史!どうして、そうウカツなの!」

「毎年毎年でしょ!その熱中症ダウンって!」

「学習能力ってないの?史には!」

「ほんと!世話が焼ける!」

・・・・・・


ただ、史は、全く反論ができない。

いや、したいけれど、頭はガンガン痛いし、悪寒はひどいし、声を出すのも、しんどい状態。


そんな史を見て、由紀も少しずつ心配になってきたようだ。

珍しくやさしい言葉をかける。

「ねえ、史、ほんとにひどいの?」

「何か言ってよ・・・」


しかし、史からは全く返事がない。

というより、返事そのものが無理なようだ。


ついに由紀は、涙があふれてきた。

史に近寄って、額に手をあてたり、手を握ったりする。

「こんな、真っ赤に日焼けして・・・手も冷たい・・・」

「どうして体調が悪かったら、同じ新聞部の人に任せて帰って来るとかって出来ないの?」

「何でもかんでも、史が記事をかけばいいってものじゃないでしょ?」

・・・・・

いろいろ言っていると、ようやく史の口が開いた。


「姉貴、そんなことをいっても・・・」

やはり頭痛が激しいのか、間があく。

「野球部の監督は、僕を取材に指名してきたんだ、裏切れないって」


ただ、史の言葉は、そこまでだった。

言葉を出すのも限界、そのまま目を閉じてしまった。


由紀は、本当に涙があふれてきた。

そして、野球部監督の言動を思い出した。

「そうか・・・あの野球部監督か・・・」

「俺たちは炎天下で、根性を鍛えている、お前たち文化部も見習えって、口癖だった、どれほどどやされたか、数えきれない」

「去年も観戦中に熱中症で倒れた応援の学生に、根性と自覚が足りないって、怒鳴りつけていたっけ」

「・・・ほんと・・・どうにもならないのかなあ」



由紀が、史の部屋で泣いていると、母美智子が入って来た。


美智子

「どう?史は?」

由紀

「全然ダメ、話もできない」

美智子

「一緒に応援にいった史と同じクラスの親から、私にも連絡があったよ」

由紀

「うん、それで?」

美智子

「10人位、倒れて病院に搬送だって、それ以外も、家に戻っても史と同じ状態みたい」

由紀

「あの監督は、自分の非は認めないタイプだよ、根性不足、自覚不足を言い張ると思う」

美智子

「うーん・・・でも、半強制だよね・・・特に史は」


そんな話をしていると、玄関のチャイムが鳴った。

インタフォンから、「里奈です」との声が聞こえてきた。



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