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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の室内楽(2)

史は、一人で音楽大学に出向いた。

実は姉の由紀が、「危ないからついていく」って言って来たけれど、母美智子が「いつまでも、そんなことを言っていられない」と、押しとどめたのである。

史としては、「姉貴が一緒だとアレコレ、混乱になる」と思っているので、一人のほうが気楽な様子。

そして、真衣と打ち合わせた時間より、少し早く音大のキャンパスに入った。


史は、ゆっくりとキャンパスを見る。

「あちこちで楽器持って歩いている」

「みんなプロ志望かなあ、上手なんだろうね」

そして、自分について考える。

「今までは良かったけれど、それは高校生レベルとか、そういう話なんだと思う」

「それがお金を取って、聴かせるプロになるには、練習しないとなあ」

「その意味で、父さんの言っていることは正解だ」

「真面目に、ピアノも弾かないといけない」

「音楽史だけでなくて、ピアノもプロとして弾くこともあるんだろうから」


その真面目に考えている史の目に、連絡をしてきた真衣が写った。

真衣は、どうやら校舎から出てきた様子。

その真衣は、いきなり大きな声。

「史くーーーん!おっはよう!」


史が、周囲を気にするほどの大声。

こうなると、真衣の出てきた方向に急がなくてはならないと思った。

史も珍しく、大きな声を出した。

「はい!お待たせしてごめんなさい!」

事実としては、予定の時間よりも15分も前になるけれど、この状況では仕方がないと思った。


真衣も史に近付いてきた。

どうやら、史をお迎えする気持ちなのかもしれない。

ただ、史が少し驚いたのは、真衣の後ろから、他の女子大生らしき人も、二人いること。

二人とも、弦楽器のケースを抱えている、おそらく一人はヴィオラ、もう一人はチェロであることは、すぐにわかった。


史は、思った。

「真衣さんの後ろにいるってことは、この人たちと一緒に演奏するのかなあ」

「それにしても初見の演奏だし、ヘマしそうだし」

「ヘマしたら恥ずかしいなあ、知らない曲だと・・・」

少々の不安を感じたけれど、とても、そんな状態は続かなかった。


史が真衣たちの目の前に立った瞬間から、大騒ぎになってしまったのである。

真衣

「この子が史君だよ!可愛いでしょう!」


ヴィオラのケースを抱えた女子大生からも声がかかった。

「うん、可愛い!この子が噂の史君?私は由梨っていうの、よろしくね」

由梨は、いきなり手を差し出してくる。

おそらく握手と思ったので、史はオズオズと手を握る。


チェロのケースを抱えた女子大生も由梨には負けていない。

「こらーーー!由梨!先に手を握らない、あ!私は夏美って言うの」

夏美は由梨の手を振りほどき、史の手をそのまま握ってしまう。

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