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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の室内楽(1)

史と父の晃宛に、音大理事会名で、封書が送られてきた。

内容としては「史君を特待生として理事会にて、入学認可決定したことと、時間の余裕がある限り音大に練習に出向いて欲しい」ということ。


史は、ホッとしたような複雑なような顔。

「なんか、すごいなあ、遊びで行くなら気楽だけど」

「ピアノを弾くのが怖くなってきた」


父の晃は、

「まだまだ、それほど練習もしていないんだから、そこまで神経を使うことはないよ、自分を信じて、練習には行きなさい、史の将来にも関係するんだから」

と、史の背中をポンと叩く。


姉の由紀も実は複雑。

「この史が個性の強い音大生に囲まれてやっていけるのかなあ」

「また変な女難に巻き込まれると面倒」

「音大には里奈ちゃんもいないし、私もいない、ああ、不安・・・」


母の美智子も、同じように不安。

「一族でバックアップって言ってくれているのはありがたいけれど、史は悩んでしまうタイプだし、時々トラブルを巻き込むし」


家族も含めて実は不安な状態であったけれど、さっそく史には「お呼び出し」があった。

相手は、かつて会った女子音大生の真衣。

「内田先生と榊原先生にも確認したよ、音大特待生決定おめでとう!」

「私の仲間も、大喜び」

「それでね、史君、土曜日あいていたら、一緒に室内楽やろうよ」

「楽譜は用意しておく、モーツァルトとブラームスにする」


史も、断りづらかった。

「わかりました、楽しみです、よろしくお願いします」

何しろ、これから本当の先輩たちになる。

お世話になると思うと、これは出向くしかない。


それでも、考えることはある。

「モーツァルトとブラームスか・・・」

「かなり音楽性も違うなあ」

「それを室内楽か・・・自分のソロじゃないから、相手にも合わせなければならないな」

「そういえば、ピアノソロも指揮も、自分の個性でできるけれど」


ただ、演奏をする前というか、楽譜も室内楽の相手も見ていない状態で、何もできないことも事実。

史は、結局

「まあいいや、出たとこ勝負、その時に考えればいい」

と思った。


その真衣からのメールがもう一度あった。

「内田先生と榊原先生と学長も聞きたいみたい」


史は、頭を抱えてしまった。

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