カフェ・ルミエール文化講座構想(3)
洋子は、京極華蓮の夢見心地な表情を見て、少し焦った。
「あの、由紀ちゃんと史君とは?」
どうしても、聞きたくなってしまった。
後ろのほうでは、奈津美、結衣、彩が耳をそばだてて、華蓮の返事を待っている。
華蓮は、本当にうれしそうな顔。
「はい、子供のころから、よく遊びました」
「大旦那の京都のお屋敷では、由紀ちゃん、史君、加奈子ちゃん、愛華ちゃん、そして私、私だけが年上なのですが、全員仲良しです」
洋子は、それで納得した。
そして、安心した。
「そうなんですか、大旦那様とも深いお付き合いなのですね」
華蓮は、しっかりと頷く。
「はい、深いと言いましょうか、もともとは同じ一族、千年を超える関係なのです、それで財団勤務をしています」
洋子は、華蓮に尋ねた。
「そうなりますと、華蓮さんが今後の事務局の中心になるのでしょうか」
華蓮は、その質問に深く頭を下げる。
「はい、ふつつかではありますが、誠心誠意、務めさせていただきます」
「とにかく、面白いお話なので、興味深いこともあります」
「洋子さまの洋菓子講座、マスターと清さんの料理講座、晃様の源氏講座、その他農業体験講座、内田先生と榊原先生、岡村先生の音楽講座、その他、素晴らしい企画が満載なのですから」
洋子は、再び華蓮に尋ねた。
「そうなりますと、具体的な開始時期ですとか、制度設計と言うのでしょうか、まだ話が始まった段階なのですが」
華蓮の顔が、キュッとしまった。
「はい、私も一昨日、大旦那様から検討の御指示をいただいたばかりです」
「ただ、大旦那様の御指示ですので、開始の時期を含めて詳細な分析と検討を行います」
「なるべく早くということもあるのですが」
華蓮は、少し間を置いた。
「秋の開講が目安となると思います」
洋子の顔も引き締まった。
「そうですか、これから大変な作業になりますね」
華蓮も頷く。
「とりあえず、二階の空き部屋に事務局を作ります」
「そこに私が常駐して、メインで様々な制度設計、交渉などを行います」
「今日は、そのご挨拶を含めて、伺いました」
洋子は、そこでニッコリ。
「そうなると、お互い、ここのビル仲間になりますね、よろしくお願いします」
華蓮は、顔を赤くした。
「いえ、私のほうこそ、新米ですので・・・・」
洋子は、そんな華蓮にやさしい言葉。
「仕事に疲れたら、いつでもお店にいらしてください」
「お話もあなたなら、合いそうです」
華蓮は、また深く洋子に頭を下げている。




