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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史の新しい難題 真由(6)

由紀は、難しい顔をして、スマホを手に取った。

そして、真由からのコールを受けた。

「はい、由紀です」


次の瞬間、真由の声が飛び込んできた。

「はーーい!由紀部長!」

「真由でーーす!おっひさーー!」

「史先輩いますかーーー?」


超明るい声、そして単刀直入。


由紀は、ため息をついた。

それで、少し落ち着いた。

「うん、お久しぶり、元気?」

「史は、いるよ、何か用があるの?」

声も低くした。


真由の声は、ますます明るい。

「うわーーー!やったーーー!」

「部長、お願い!史先輩とお話したいのーーー!」

「ねえ、早く!早く!」


由紀は、冷静になってきた。

史に、少し目配せしてから

「史はいるけれど、今は勉強している」

「何しろ、受験生だから」


史も、それには納得。

音楽史の勉強をしていて、たまたま珈琲を飲もうと、居間に降りてきただけ。


しかし、真由はそんな言葉では納得しない。

「えーーーー?少しだけでもいいからーーー!」

「私、史先輩とお話したいのーーー!」

「ね!お願い!お願い!少しだけーーー!」


由紀は呆れた。

そして、ムッとしてきてしまった。

ついつい、言葉がきつくなった。

また、由紀も文句を言い出すと、止まらない。


「あのさ、真由、少し無神経すぎない?」

「私のスマホに電話かけてきて、必死に受験勉強中の史に、勉強を中断して、電話に出ろってこと?」

「いったい、何様のつもりなの?」

「真由って、自分だけがよければいいの?」

「それになんで、もう卒業した私を通じて、そんなこと言ってくるの?」

「史と話をしたかったら、真由自身が、学校で話しかければいいじゃない!」

「なんで、それができないの?」


真由は、まともに返事ができない。

「う・・・えっと・・・」

「あの・・・」

声が、グジュグジュになっている。


由紀は、その真由に追い打ちをかけた。

「だいたいね、真由は、史の周りに、女の子がたくさんいるから、声かけられないんでしょ?」

「話をしたかったら、自分で声かければいいじゃない!」

「周りの女の子を、押しのけても、話しかければいいじゃない!」

「自信がないの?他人には文句ばかり言うくせに」

「自分じゃ、何もできないの?」

「わざわざ受験勉強中の史の邪魔なんかしないでさ!」

「それで、姉の私を通じれば、何とかなるって、思ったんでしょ?」

「甘いよ、そんなの」

「他の女の子で、そんなことした子は、一人もないよ」

「呆れてものも言えない!」

由紀の「追い打ち」は、長く続いた。


真由は、涙声だけ。


母美智子は、頭を抱えた。

「呆れてものが言えないって、かなり言っているし・・・」


史も、それには頷いた。

「とにかく、文句とか攻撃に関しては、姉貴には、逆立ちしてもかなわない」


結局、「史は勉強中他」が貫かれ、その日の真由は、史と話をすることが出来なかった。

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