表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
501/760

史の新しい難題 真由(5)

さて、史は一階で、由紀と母美智子がそんな相談をしていることなど、まったく関知しない。

そして由紀が、伝えてきた「真由」についても、関心がない。

「だって、そんな子知らないし、僕は里奈ちゃんが好き」

そこまで思って、史はやはり真面目、勉強を始めてしまった。


「今日は、音楽史と英語、少しでもテキストを習っておかないと」

「内田先生も推薦で大丈夫って言ったけれど、やはり身につけるべきは大切」

「そうしておかないと、実際に困る」

ということで、史ならではの「ていねいな文字」で、ノートに書いていく。


しかし、それも約1時間半ほど、少し疲れて珈琲でも飲もうと思って、一階のリビングに降りると、母美智子と由紀が珍しく深刻な顔で話をしている。


史は、何かあったのかと思って心配になった。

「ねえ、何か不幸でもあったの?」

京都関係で、誰か亡くなったのかと思ったのである。


しかし、母美智子も姉由紀も首を横に振る。

そして、まず由紀は、

「だから、真由の話をどうするかってこと」

美智子は

「付き合わない方がいいね、そういう子って」

との、史にはよくわからない話。


史は、困った。

そして不機嫌になった。

「ねえ、二人とも、それじゃ、意味わからないって!」

「何をしたらいいの?どうすればいいの?」

「姉貴に言われたけどさ、顔もわからない、名前も知らない人が、何だかんだいってきてもさ、僕は勉強もあるし、音楽部も合唱部も、カフェ・ルミエールの楽団もあって、これ以上は無理」

「体力的にもギリギリ、気持ちもギリギリ、予定も目一杯なの」



珍しく不機嫌な史の顔を見て、母も姉も、頭を抱えるけれど、史はさらに言葉を続けた。

「僕は、里奈ちゃんが好きなの」

「だから、その子が何を言ってきても、それを貫く」

「オタオタするほうがおかしい」

「迷惑なら迷惑って、はっきり言う」

史が、そこまで言った時だった。


由紀のスマホが光った。

由紀は、スマホの画面を見て、ビクッとした。

「・・・お母さん・・・真由だ・・・」


母美智子は、顔をしかめている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ