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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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三年生になった史と里奈のデート(9)

史と里奈は、自由が丘の駅から、また私鉄に乗り、帰路についた。

里奈が史に話しかける。

「本当に楽しかった、思いがけなくバームクーヘンまでいただいてしまって」

史もうれしそうな顔。

「そうだね、菊田のおばさん、そういえば小さい頃から、いつもお土産もらった」

里奈は、バームクーヘンの箱を見ながら、にっこりとする。

「いい人だね、実はバームクーヘンも欲しかったから」


史は、そんな里奈に聞きたいことがあるようだ。

「ねえ、里奈ちゃん、菊田さんと内緒の話をしていたみたいだけど何?」

ただ、里奈はその質問には答えない。

「えへへ、内緒だよ、ふふ」

と言って、史の手をギュッと握る。

史は首を傾げ

「うーん・・・」

となるけれど、史も里奈の手をしっかりと握りかえす。


里奈は、途中で話題を変えた。

「ところで、史君、お姉さんのお土産は買ったの?」

すると史はキョトン顔。

「いや、大福もあるし、菊田さんにバームクーヘンもらったしさ、あれで最近ダイエットしているって言ってたから」

つまり、「特別のお土産」はないという答えをする。

すると、里奈は、少し強めの言葉。

「もーーー・・・しょうがないなあ、あれほど史君のことを心配してくれるお姉さんっていないよ」

「私、お姉さん大好きだもの」


しかし、史は「今さら帰り道だし」で、少し困り顔。

里奈は、そんな史を見透かしていたようだ。

「それでね、私からで、これを渡して」

と、最初の雑貨店で買っていたらしい、何かの包みを史に手渡す。

史が、「え?何?」と驚きながらも、受け取ると

里奈はクスッと笑う。

「その包みの中身については、私が後でお姉さんに説明します」

「だから、史君はお姉さんに手渡すだけ」


史は、ますますわからないような顔になるけれど、それ以上聞きだせそうにない。

ただ、いろいろ思うのは「母美智子といい、姉貴といい、僕に内緒で何を連絡しあっているのかなあ、何かコントロールされているような気がする」ということ。



さて、最寄りの駅で降り、史は里奈を自宅に送り届け、しっかりと里奈の母と祖母にお礼を述べてから、帰宅した。

家のリビングに入り、母美智子に「指定お土産の大福」と「もらってしまったバームクーヘン」を渡していると、二階から姉の由紀が降りてきた。


そして史に一言。

「ほんとに、里奈ちゃんって気がきく、すっごい可愛いマグカップをいただきました、今度は私が里奈ちゃんとデートするから、史はお留守番しなさい」

「姉に無神経な史とは、大違い」

そこまで言って、由紀はスッキリしたらしい。

ニッコリと笑って、いきなり大福餅を食べ始めている。


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