三年生になった史と里奈のデート(7)
史と里奈は、フォアグラのリゾットを出すという、駅近くのイタリア料理店に入った。
史は、店内を見回しながら、気に入った様子。
「すごく親しみやすいって感じの内装だね、落ち着く」
里奈は、そんな史にホッとした。
「よかった、史君って感性がすごいものがあるから」
史は、そんな里奈に首を振り
「そんなことないよ、ボンヤリしている時のほうが多い」
里奈は
「そういうボンヤリ顔の史君も可愛い」と思うけれど、なかなか、本人には言いづらいし、ただニコニコとしている。
さて、店の人が注文を取りに来たので、史と里奈は、お目当てのフォアグラリゾットと、ズワイガニとトリュフのクリームコロッケを頼んだ。
史「すごく楽しみ」
里奈「ズワイガニとトリュフをコロッケなんて、面白い」
と、ワクワクしながら、料理を待つ。
そして、まず出てきたのは、「ズワイガニとトリュフのクリームコロッケ」。
史
「メレンゲのソースに、コロッケが浸けてある」
里奈
「衣がそれで、しっとりして味が染み込んだ部分と、表面のカリカリの部分との違いが面白い」
史
「ズワイガニもたくさん入っている」
里奈
「トリュフもいい感じ」
なかなか、美味しいようで、二人はすぐに平らげてしまった。
続いてお目当ての「フォアグラリゾット」が出てきた。
里奈
「へえ・・・トロトロのリゾットの上にフォアグラ」
史
「コクがあって美味しい、リゾットと一緒に食べると、ちょうどいい」
里奈
「とにかく満足させる味だね、頼んで良かった」
史
「シンプルなようで、リゾットとかソースとか、手が込んでいる」
このフォアグラリゾットも、二人には本当に美味しかったようだ、皿の上には何も残らない状態、食べきってしまった。
さて、食事を終えた史と里奈は、様々な店を歩いたりしてデートを楽しんだ。
最後に老舗和菓子店で、しっかりと指定の大福を買ったけれど、史は一つ思い出した。
史
「ここでナボナを食べる?」
里奈は即答。
「うん、食べたい」
そんな二人が店内の椅子に座ってナボナを食べていると、史は、店の人から声をかけられた。
その声をかけてきた店の人は、少々年輩の上品な女性。
「あの、もしかして史君?」
史は、キョトンとしている。




