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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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銀座、日本橋散歩(6)

史も後ろの方から聞こえてくる騒ぎ声には、気がついたようだ。

「何かあったの?」

と振り返ると、女子高校生たちから一斉に声がかかった。


「史くーん!」

「こっち向いてーーー!」

「あ!向いてくれた!」

「お姉さんたちと銀座デートなの?」

「楽器屋さんに入るの?」

「一緒に入っていい?」

・・・・

とにかく大騒ぎになっている。


史は「えーーー?」と、どうしたらいいかわからない状態。


愛華は、目が点になった。

「マジ?史君!この人たちって何?」

加奈子もそんな感じ。

「史君って、アイドル?」


そんな愛華と加奈子に、由紀が頭を下げる。

「愛華ちゃん、加奈子ちゃん。ごめん」

「この子たち、私の高校の合唱部の後輩なの」

「ほんと、こんな時にやかましくて・・・」

と言うけれど、当の史は一瞬にして、合唱部女子高生たちに囲まれてしまっている。


おまけに、合唱部顧問の岡村顧問まで、史の前に立った。

岡村顧問は史に

「おや、史君、あれ?由紀ちゃんもいるね、今日は銀座の楽器屋さん?」

と声をかけてくる。


史も、岡村顧問の前では、シャンとする。

いつものようにキチンと頭を下げ

「はい、京都の従妹の加奈子さんと、遠縁の愛華さんが、都内に遊びに来たので、案内をしています」

と、しっかりと事情を説明する。


すると、岡村顧問は、加奈子と愛華に、会釈。

「ああ、昨日、例の事件の話が、内田先生と榊原先生からあったよ」

「あなたたちも、音大に出向いたんだね」

「それはともかくさ、あなたたちも音楽は好きかな」

いつものほがらかな口調で話しかける。


愛華も、かつての有名声楽家の岡村の顔は知っているらしい。

「はい、岡村先生ですね!何度もオペラを拝見しました、ベルディもワーグナーも最高でした、感激です!こんな直接お声をかけていただいて」

愛華も、うれしいようだ。

とにかく目がキラキラしている。

加奈子も、愛華と同じような反応。

「はい、私、フルートを吹きます」

「声楽も大好きです、今日は本当にお目に書かれて幸せです」

加奈子の顔もパッと輝いている。


史が岡村顧問にたずねた。

「先生と、合唱部の皆さんは、今日は?」

史としても、岡村顧問と合唱部がほとんど銀座にいることが、不思議だった。


岡村顧問の答えは、簡単。

「ああ、プロの合唱団の練習見学にね」

「練習場所が近くでさ、銀座も近いから、一緒に散歩でもってね」


史と由紀が頷いていると、岡村顧問はニッコリ。

ちらっと合唱部の面々の顔を見てから、史の肩をポンと叩いた。

岡村顧問には、何か考えが浮かんだようだ。


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