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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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銀座、日本橋散歩(5)

お香の店を出た一行は、四丁目交差点を越えて、七丁目の楽器店に向かう。

史が一応説明をする。

「たくさんのピアノとか、楽器とかある」

「地下には楽譜もかなりあるよ」

「楽器関連グッズもたくさん」


愛華が、即反応。

「なあ、史君、少し弾いて」

加奈子も、途端にニコニコ。

「昨日、聞けなかったから、耳の保養が出来るなあ」

由紀は、何も言えない。

昨日は、史のピアノを弾かせなくて、少々トラブルになったから。


史は、ただ笑っただけ、それよりも街を見ている。

「それにしても、新しくて大きなショッピングモールも出来ているし」

と、六丁目あたりで目を丸くする。

由紀も

「そうだねえ、子供の頃と全然違うなあ」

「羊羹屋さんの通りのほうは、そんなに変わらないかな」

愛華は

「とにかく素敵や、こういうのを見ると、来年は絶対に都内に住むしかない」

加奈子も、目が輝いている。

「そうやなあ、史君も由紀ちゃんもおるし、マスターの料理と洋子さんのお菓子もあるしなあ、大旦那も奥様もいるし・・・都内のほうが自由やし」


さて、一行は、そんな状態で、お目当ての楽器店にたどりついた。

史が店の前で

「じゃあ、ここは馴染みだから、案内します」

と笑うと、

愛華と加奈子は、「史のピアノ試奏」への期待で、ますますニコニコ顔。


由紀も、「今日ばかりは仕方がない」と思っていたけれど、突然、後ろから「トントン」と肩を叩かれた。

由紀が「え?」と思って、後ろを振り向くと、目に入ったのは高校の合唱部の後輩たち。

そして、さっそく大騒ぎになる。


「由紀部長!ここで何やっているんですか?」

「部長じゃないって!もう女子大生だって!」

「由紀先輩の前の方に歩いているのは史君?」

「えーーー?姉と弟で銀座デートなの?」

「やだーーーだったら私が史君とデートする!」

「だめだって!史君の相手は私がいい!」

・・・・・・・・

とにかく、女子高校生たちの、質問と大騒ぎの連発。

人数にしても、六人から七人・・・近寄ってくる女子高生も、合唱部なので、もっと多くなることは決定的。


由紀は焦った。

「もーーーあなたたちも、銀座だったの?」

「姉と弟でデートなんてしないって!やだ、史となんて!」

「京都から親戚の女の子が来ているので、東京を案内しているだけだって!」

こうなると、本当のことを言わないと、どうにもならない。

そして「親戚の女の子」と言えば、口うるさい後輩女子たちも、スンナリと撤退すると考えた。


・・・しかし・・・なかなか「スンナリ」とは、話が進まない様子。

何しろ、女子高校生の後ろから、合唱部顧問の岡村先生が歩いてくるようだ。


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