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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史・由紀・愛華・加奈子の音大見学(10)

内田先生は、言葉を続けた。

「ねえ、小さなホールがあるから、そこでピアノを弾いてごらん?」

「音響もいいからさ、曲は何でもいいよ」

「史君のソロでも、誰かとアンサンブルしても」

要するに、史のピアノを聴きたいようだ。


それには、学長も榊原先生も頷いている。


史は、その話を聴いて、少し考えた。

結論は早かった。

「来年、卒業すれば、ここの音大にお世話になりますので、是非、弾かせていただきます」

史にしては、積極的な結論。


すると由紀は「え?まずい!」という顔。


加奈子は、うれしそうな顔。

愛華の目は、輝いた。


榊原が、そんな史に声をかけた。

「史君、ソロもいいけれど、室内楽やってみる?」

「ピアノ五重奏とか、どうかなあ」

「弦とかのメンバーはこっちで集めるよ」


すると史の顔がパッと輝いた。

そして

「あ!やってみたいです、お願いします!」

「シューマン、シューベルト、ブラームス、ドボルザーク」

「何でもいいです」

とにかくうれしそうな顔になった。


ただ、由紀は、少し困った。

そして史に小声で怒った。

「あのさ、史!何をはしゃいでいるの?」

「今日の目的って、愛華ちゃんと加奈子ちゃんの音大見学でしょ?」

「主役は、史じゃないの、それを史がはしゃいでどうするの?」

「それだから、史はアホって言われるの」

「どうして、場ということを考えないの?」


史も、由紀にそう言われては、無理と思ったようだ。

今日の目的を考えれば、史がはしゃいでいる場合ではないと自覚した。

そして、先生方に頭を下げた。

「すみません、やってみたいのは、本音ですが」

「今日は目的が違います、あくまでも音大見学です」

「アンサンブルは、またいつか、日をあらためてということでお願いします」


それを聞いた先生方は、残念そうな顔。


加奈子は、「また由紀ちゃんの、命令グセが始まった、いつまで史君を完全支配したいのかなあ」と、がっかり顔。


愛華も「怖いお姉さんやなあ、一番、場を壊しているのは由紀ちゃんや、聴きたかったのに」と、肩を落としてしまった。


ただ、それでも先生方は

榊原先生

「まあ、音大見学というのなら、案内しよう」

内田先生

「私も、ご一緒するよ」

と、史の一行が学長室を出ると、案内のため、先を歩き出した。


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