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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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史、由紀、愛華、加奈子の音大見学(1)

さて、今日は土曜日、京都から愛華と加奈子が東京に来る。

目的は、史の通うことになる音楽大学の見学とカフェ・ルミエールでのケーキと食事、そして都内見学など。

しかし、本当の原因は、愛華が史に「逢いたくて仕方がない」ため。

史自身は、愛華に対しては「古くからお付き合いのある親戚のお嬢さん」「年末に京都を案内してくれた人」としか考えていないので、今回の道案内とか同行は、「親戚へのお礼」と思っている。

ただ、姉の由紀も従姉の加奈子も、「そう対応するしかない」と思ってはいるけれど、やはり愛華の思い込みのパワーは強い。

いささかの不安はあるようだ。


由紀は

「歩くのにも、私が愛華ちゃんの隣で、加奈子ちゃんと史が一緒に歩く」

加奈子は

「お店に入ってテーブルについても、史君と愛華ちゃんが並んで座るとか、正面で向き合うのは避ける」

などと、昨日の晩からメールで、様々作戦を練り合っている。


さて、史はのんきな顔、由紀は不安顔ではあるけれど、駅に迎えに行く時間になった。

二人がリビングで、お茶を飲んでから玄関に向かおうとすると、母美智子がパタパタと後ろからついてきた。


美智子

「決して、トラブルがないように、大切なお親戚なんだから」

美智子も心配な様子。


史は

「大丈夫、母さん、心配しすぎ」

と、まったく気にかけない。


由紀は

「うん、私も加奈子ちゃんもついているからさ」

と意味ありげなことを、母に言う。


美智子は、そこで頷くけれど、由紀と加奈子だけでは不安な様子。

「ああ、マスターと涼子さんにも私から連絡しておく」

「洋子さん、奈津美ちゃん、結衣ちゃん、彩ちゃんにもかな」

と、ますますアセリ顔になる。


史は、そんな母を見て

「母さん、何言っているの?」

と、全くわかっていない。


由紀は、またしても史に腹が立った。

「この、無神経男!」

いきなり理由も言わず、史の頭をポカリ。


史がムッとした顔で、由紀を見るけれど、母美智子も何も由紀を叱らない。


史は、そこで思った。

「まったく我が家の母といい、姉といい、暴力容認家庭?」

「呆れる!もう、早くこの家を出て、イタリアに行ってしまいたい」


ということで、出発時点では、少々不穏な雰囲気が漂っている。

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