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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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マスターと大旦那の一応の対応策

マスターは大旦那の屋敷に出向いた。

目的は、昨日のテレビ番組制作会社との一件報告と、今後の対策についてとなる。


大旦那はマスターからの「一件」の詳しい報告を聞き、まず顔をしかめた。

「そうだったのか、昨日電話でも聞いたけど、とんでもない野郎だなあ」

「そんなことをさせるテレビ局もテレビ局だ」

「突然やってきて、テレビ放映だとか、それも期日まで決めて」

「お笑い芸人と協力金?まあ、お笑い芸人全てが悪いわけではないけれど」

「協力金って何だ?」

「それでも店にいた人が、全員マスターに協力してくれたんだろ?」

「それは良かったなあ、警察まで呼んでくれて」


マスターは大旦那に

「他の料理屋でも、そういう話があるようなので」

「おとなしい店主などは、断りきれなくて協力するらしいんです」

「それで一時的には客も増えるのですが、その後はまた同じように」

「協力金を払った分のコストに見合う収益は出ないというのが、実態のほとんどです」


大旦那は、フンフンと頷き

「結局はテレビ番組の制作費用だな、それに使われる」

「タレントの費用とか、それも含めて」

とまで言って、少し考えた。


「何とか対応しなければ・・・」

「かと言って、違法なことをしていない制作会社にまでは、ケチをつけるわけにもいかない」

「テレビ番組制作会社と問題なく合意していれば、他人が口出すこともないからな」

「あくまでも、恐喝まがいのことを要求するとか、犯罪的なことをしてくる相手には対応できるけれど・・・」

として、マスターが持ってきた昨日のテレビ番組制作会社の男の名刺を見た。


そしてマスターに

「ああ、とりあえず、銀行協会に話をしてみる」

「こういった反社会的な行為をする団体とは取引をするなとね」

「それを徹底させる」

「あとは・・・官邸にもチラリと言っておく」

「通報窓口ぐらいは作るだろう、どこかの省に」

と、一応の方針を伝えた。


マスターは

「そうですね、私も料理人仲間に、この話を伝えます」

「通報する際の相談窓口になってもいいかな、全てが全ては難しいから、何人かの信頼できる店主と協力して」

と、やっと落ち着いた顔になっている。


さて、大旦那にはもう一つ、考えがあるようだ。

自らスマホを操作して、誰かと電話をして、すぐに切ってしまった。


マスターが大旦那の顔を見ると、大旦那はニヤリと笑った。

「ああ、今な、こいつのテレビ局の社長に昨日の話を電話したのさ」

「そして、お前の所で番組と博覧会にしたいって言っていた『平安歌人の秘宝展』は、とんでもないゴタゴタを犯されかねないから断るってな」

「ふん、後でガンクビ揃えて謝りに来るらしいが、いるかいないかわからんって言ったよ」

「さて、居留守を使うか、出かけるか」

「叱りつけるのも、アホらしい、口が汚れる」


マスターもそこでニヤリ。

「洋子さんが新作メニューを作っていますけれど」


大旦那の反応が早かった。

即座に立ち上がる。

「ああ、ついでに美智子さんも誘おう」

と言った瞬間、奥様も出てきた。

「あなた、私もご一緒します」


一同は、大笑いでカフェ・ルミエールに向けて出発してしまった。


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