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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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マスターVSテレビ局(2)

マスターは延々と続くテレビ番組制作会社田中の言葉の途切れを待った。

そして、田中がグラスの水を口に含んだ瞬間

「そのお話はお受けしません」

「その水を飲んだら、お引き取り願います」

厳しく、言い放ってしまった。


すると、ますます田中の言葉がキツくなった。

「おい!何だ、その態度は!」

「全国放送のテレビに出してあげるって言ってんだ!」

「それこそ、お前の方から頭を下げてお願いしますだろうが!」

「いいか!マスコミを馬鹿にするんじゃないぞ!」

「どんなに悪い評判だって流せるんだぞ!」

「こんなチンケな店、つぶすなんぞ・・・」

その田中が、そこまで口に出した時だった。


マスターが田中の顔を見て、ニヤリと笑った。

田中は、そのマスターの笑い顔が本当に癪に障った。

そしてとうとう切れてしまった。

「この野郎!」

ついに手にしたグラスをマスターに叩きつけようとした瞬間である。


「おい!」

その田中の腕を、後ろから誰かが掴んだ。


「誰だ!」

田中が驚いて、後ろを振り向くと、手を掴んだのは大柄なガッチリとした男。

その男も、本当に怖い顔で田中を睨んでいる。

そして、その大柄な男だけではない。

いつの間にか、田中の後ろには客席にいた人たちであろうか、ほぼ全員が立っている。


「何だ!お前たち!一般人か!」

「何でこんな暴行をする!」

田中は叫ぶけれど、腕をガッチリ掴まれているし、集団に囲まれているので全く身動きができない。


「田中さんって言うのかい?」

田中の腕を掴んだ男が、田中に声をかける。

「何が暴行?お前さんの方がマスターに水が入ったグラスをぶつけようとしたんじゃねえか」

「みんな見てたぜ、一部始終をな」

「だいたい、マスターの言うとおりだ」

「テレビ局をカサにきて威張り過ぎじゃねえか?」

「何様の積りだい!」

「テレビ局のほうが一般客よりエライのかい?」

「それにテレビ放映で協力金?」

「それも事前の了解も得ずに、恐喝とか脅迫じゃねえか!」

田中は、その言葉を聞いて震えだした。


「田中さんとやら」

マスターが田中に声をかけた。

「一部始終、録画してありますのでね」

「明日、警察に来てもらいます、名刺もいただいてありますので」

「マスコミも呼ぶかなあ、もちろん他局のね」

マスターはそこまで言ってククッと笑い、言葉を続けた。


「私はね、そんなテレビ局に放映されたり、協力金を払う余裕があれば」

「料理を良くしたり、仕入れを良くしたいんです」

「幸い、素晴らしいお客様に恵まれていますので」

マスターはニッコリ笑い、田中以外の客に頭を下げる。


そしてマスターは、田中にもう一度厳しい視線を浴びせて、言葉をかけた。

「お前さんも、ここまでのことをやったんだ」

「責任は取ってもらうよ」

「ああ、お前さんだけじゃないかもな」


マスターの表情は、本当に厳しい。

「何か」を考えているようだ。


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