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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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音大訪問(4)竜の実態と史の将来

真衣は話を続けた。

「とにかく我がまま、派手好き、ゴーマン、演奏もそうなんだけど」

「なるべく彼の目に入らないほうがいいかなあ」

「時々、メチャクチャしつこいことがあってね、一度目についたとか気に入らない相手が出来ると、ずーっとイジメに入る」


由紀が真衣に質問をした。

「でも、そんなことばかりするんだったら、誰かが文句を言うとか」

「大学の方で注意するとかはないの?」


その質問に真衣が答えた。

「ああ、さっきも言ったんだけど、彼は大財閥の御曹司」

「長男とか跡取りではないから、気楽は気楽」

「それより何より、その大財閥お抱えのコンサートとか、音楽業界の仕事とか就職先含めて、ここの音大生がかなり仕事をもらっているの」

「それでね、他の生徒も大学も、強いことを彼には言えなくなっているの」

真衣の顔が暗くなっている。


ただ、史は、そういう話にはあまり関心がないらしい。

「でもさ、僕は演奏家希望ではないし」

「演奏はちょっとだけで、志望としては音楽史とか音楽理論なんだ」

「だからコンサートに出ることもなく、商売としての音楽業界に入るわけじゃない」

「だから、将来において彼とは接点は必要がない」


由紀も史の考えには同意した。

「まあ、彼と彼のバックの大財閥とやらから、仕事をもらうとか頭を下げるとかはなさそうだから、それはいいけれど」

それでも由紀の顔は晴れない。

「全く気に入らないなあ、そういう大財閥の力をバックにやりたい放題って」

「絶対にギャフンと言わせたいなあ」


ただ、史と由紀の考えを聞いた真衣は、少し首を傾げた。

「ねえ、史君、竜の話はとにかくね、演奏家を目指さないの?」

「それってマジ?」

「カフェ・ルミエールのコンサートも二回いったけれど」

「史君がすごく光っていたしね」

「史君の演奏を聴きたいと思う人が多いと思うよ」

「すごく、もったいないと思うけれど」


史は

「うーん・・・そう言われても」

と黙ってしまった。


由紀は

「そういう気持はありがたいけれど・・・」

と、なかなか返事ができない。


史と由紀、真衣の歩く先に、レッスン室が見えてきた。

榊原先生と内田先生が、立って手招きをしている。

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