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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
333/760

母美智子vs由紀

さて、マスターと由紀の横浜デートも無事終了し、家に戻った。

家の中に入ると、母美智子がお出迎え。

「あら、お疲れ様、楽しかった?」

と聞いてくるので


由紀は

「はーい!美味しかった、それからマスターにドレスを買っていただきました」

「それから、お土産です!」

超ゴキゲンな状態。

由紀の後ろに立つマスターは、笑い出している。


ただ、マスターは風邪で寝込んでしまった史の状態が気にかかる。

リビングで由紀の淹れた紅茶を飲みながら

「コンサートで頑張りすぎたのかな、少し心配だなあ」

とポツリ。


美智子は

「うん、さっき医者に往診してもらったの、とても歩けない状態だった」

「まだ熱は下がっていないよ、苦しそう」

と、同じく不安な顔をしている。


由紀は、少し呆れている。

「まったく史は弱虫だ、何かあるとすぐに寝込む」

「そんな弱虫のくせに、イタリア留学?無理に決まっている」

「ほんと、世話が焼ける」


そんな由紀に美智子から、少しキツイお叱り。

「あのね、由紀は健康だけが取り柄なの」

「史は、頑張りすぎて消耗したの」

「全く史は新聞部の仕事もして、音楽もやって勉強もやって」

「成績も良かった、安心して来年は受験できる」

「そのうえ、由紀がほったらかしにした家事もしてくれる」

・・・・・とにかく、キツイ口調である。


由紀は口を「への字」にして黙ってしまった。


マスターは、美智子の強い口調に呆れていたけれど、話題の転換をする。

「あのさ、披露宴で由紀ちゃんと史君に司会を頼んだのさ」

これで由紀も何とか話ができる。

「はい、それでマスターにドレスまで仕立てていただいて」

と、母美智子に報告をする。


美智子は

「本当にありがたいです、それについてはマスターのお気持ちを受け取ります」

と、マスターに頭を下げる。

それでも由紀には

「ねえ、しっかりやるんだよ、モタモタしないでよ、名前間違えたりしないでね」

と、またキツめを変えない。


マスターは

「史君と加奈子ちゃん、愛華ちゃんも司会を頼んである」

「特に京都のお偉方は、喜ぶだろうと思ってね」


美智子も頷いて

「そうだねえ、プロの司会ではなく、縁の深い若い子たち、将来を担う子どもたちかあ、マスターの考えなの?」

と聞くと

マスター

「ああ、主に涼子の発案、さすがホテルの接客ナンバーワンさ」

と、笑う。


由紀は、そこで思い出した。

「母さん、元町のレストランと中華街のお店とホテルからお土産をいただきました」

やはり、これはしっかりと言わなければならないと思った。


すると美智子

「ふ・・・とっくに電話連絡がありました」

「しっかり御礼も言っておきました」

「そういうことは、もっと前にキチンと言うべき」

「・・・ということは、渡したお金は使わなかったよね」

またしても、少しキツめな口調。


由紀は

「う・・・まずい・・・」

と、頭を抱える。


マスターは、由紀の肩をポンと叩き、そして笑っている。

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