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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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帰りのタクシー内での家族の会話

クリスマスコンサートの打ち上げパーティーは大盛況の中に終わり、それぞれが帰途についた。

史は帰りのタクシーの中で、ホッとしている。

その史に由紀が声をかける。

「突然、ギター持って歌うからびっくりした」

史は

「うん、大旦那とやろうって話があってさ」

こともなげに言うけれど、由紀は気に入らない。

「一言ぐらいやるとかなんで言わないの?みんな驚くでしょ?」

ついつい文句を言う。

史も、ムッとする。

「なんで姉貴に全て言わなければならないの?すごくうるさい」

語調も珍しくキツイ。

由紀の言葉もキツイ。

「あのさ、史は弱虫だから心配なの、どれほど心配かけたか、わかってる?その自覚ある?」

・・・・とにかくブツクサ言っている。


母美智子が反応した。

「どうでもいいけどさ、史は立派だった、みんな褒めていた」

「私もうれしかった」

母美智子は珍しく史を褒めている。


父晃は由紀に

「ところで、マスターとデートするの?」

話題を変えてしまう。


すると由紀の関心が、史からマスターに移った。

「うん!美味しいもの、たくさん食べてきます!」

「何しろ、マスターの頼みですから!」

途端に、ニコニコ顔になる。


美智子は、少し首を傾げる。

「ところで、マスターの頼みって何かなあ」

「私、しっかり聞いていないけれど」


晃は

「披露宴かなあ、何かあるのかもしれない、音楽とかさ」

美智子は

「ああ、そうかなあ、でも史にも音楽なら頼むよね」

と、また首を傾げる。

晃は

「そう言えば、愛華ちゃんも京都の披露宴ではフルートを吹くって言っていたなあ」

「史のピアノと由紀の歌と加奈子ちゃんのヴァイオリンと愛華ちゃんのフルートかあ」

少し笑っている。

美智子も、笑いだした。

「うん、この子たちが小学生の頃、四人で演奏させたよね、可愛かった」

「お人形さんの演奏会って言われたよね」


晃と美智子の会話はともかく、愛華の名前で、由紀の表情が少し変わった。

「う・・・愛華ちゃんか・・・これはまずい・・・」

「せめて京都だけにしないと・・・ヤバイ・・・」

と思うけれど、なかなか、ヤバイ意味を父と母には言いづらい。


そして、由紀は、ふっと静かな史を見る。

「・・・史・・・寝てる・・・」

「寝ていると、可愛いんだけど・・・」


これで由紀は複雑である。


しかし、史の一家全てが誤解していたことがあった。

「マスターのお願い」は、音楽の演奏だけではなかったのである。


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