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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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加奈子と由紀の不安

史が歌い始めると、里奈はいてもたってもいられない。

とにかく史の歌う小ステージの前まで、進み聴いている。

史も里奈に気づき、ニコッと笑う。

里奈は、そんな史が本当に好きだ。

顔が赤くなるけれど、一歩も史から離れたくない。


そんな里奈を見ている大旦那は

「ああ、いい娘さんだ、あれほど思われて史も幸せだ」と満足顔。

里奈の祖母佳子も

「まさか、大旦那にそこまで言われて、里奈も幸せです」

と、うれしそうだ。

奥様も

「史もありがたいことです、初々しくていいなあ」

と、佳子に声をかける。


また、史のカントリー風ソロは、音楽家集団にも好評。

「ああ、いいなあ、歌い方に変なクセがない」榊原

「高音が伸びやかで、低音も響く。声楽家もいいかも」岡村

「あの史君は、音楽の心を知っている、だから何をやらせても、聴く人の心に響く」内田先生は、目を細めている。

先生方についてきた音大生などは、「聴き逃せない」として。一曲目から飲食はそっちのけで、史の前で聴き続けている。


さて、史の家族と里奈の家族は和やかに話をしている。

晃は

「本当に里奈さんにはお世話になりまして」

美智子も

「里奈さんがいたから、今の史があるんです」

と頭を下げると

里奈の父は

「いやいや、こんな立派なご一族のご子息とは、里奈も幸せです」

里奈の母も

「本当に、そのお話を聞いた時には、震えてしまいました」

と、つい本音。

晃は

「いや、わが母とも、佳子さんともお知り合いだったようで、私も佳子さん覚えています、ですから実は長い付き合いです」

と、にこやかである。

里奈の祖母の佳子も

「はい、史君は、晃さんにそっくりです」

とクスッと笑う。

大旦那も、会話に加わった。

「史は、学者にしようと思ったんだけど、今日のを聴いてしまうとね」

少し苦笑いをする。

奥様も

「うーん・・・史は学者って言っているみたいで、それも西洋中世史とか」

困ったような顔をする。

晃が

「こればかりは、本人なんだけど」

そんな話が続いている。


さて、加奈子は、ずっと里奈と史の様子を見ていた。

そして考える。

「あの二人に、愛華ちゃん入り込めないけど」

「うーん・・・それでもなあ・・・不安だ」


そんな加奈子に由紀が声をかけた。

「大旦那も奥様も、里奈ちゃんを認めているしさ」

「愛華ちゃんは、無理じゃない?悪いけれど」

「そもそも、史本人が里奈ちゃん一筋だよ」


加奈子は、ますます難しい顔になる。

そして由紀に

「ねえ、愛華ちゃんの性格知っているでしょ?」

と、すごくマジな顔。


由紀は、そのマジな顔に反応した。

「・・・そこまで?愛華ちゃん・・・」

由紀も、不安な思いに包まれている。

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