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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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大旦那のご挨拶

大旦那は、ゆっくりと客席を歩いて、そのままステージにのぼった。

指揮者の榊原と楽団員、合唱団員に頭を下げた後、史の隣に立ち、聴衆に向き直った。

そして、深い一礼の後、少し重めに語りだした。


「本日は、カフェ・ルミエール楽団のクリスマスコンサートにお越しいただき、また熱心にお聴きいただき、ここに厚く御礼もうしあげます」

「カフェ・ルミエール楽団及び、合唱団も、本当に喜んでおります」

「今回の演目、バッハの協奏曲、そしてベートーヴェンの第九交響曲、アンコールまで、楽団そして合唱団は心を込めて演奏をいたしました」

大旦那がそこまで話すと、また大きな拍手が沸き起こる。


大旦那は、話を続けた。

「今年の一年も様々でした、そして、また来年、我が日本、そして世界においては様々な事件が起こると思われます」

「しかし、どんなことがあろうとも、音楽の素晴らしさ、心に訴える音楽の素晴らしさを、人は失ってはいけません」

大旦那は、少し間を置いた。


「これからも、私たちカフェ・ルミエールの楽団、そして合唱団は、心を込めて練習をして、また、素晴らしい音楽を奏でたいと切に思っています」

「本日、この会場に来られた地域の方々、それから遠方から来られた方々、どうか、このカフェ・ルミエールの楽団、そして合唱団を末永く、ご愛顧と応援のほど、よろしくお願いいたします」

「そしてまた、来年も、この音楽の素晴らしさを感じようではありませんか」

大旦那は、そこまで話し、聴衆全体に、また深く頭を下げた。

その大旦那に、史もならう。

続いて指揮者の榊原、楽団員、合唱団員も、頭を下げた。


ホールは、再び大きな拍手に包まれ、クリスマスコンサートは終了となった。


史や楽団員、合唱団員が片付けや着替えを終えて、ホールの外に出ると、大型バスが二台停まっている。


父晃が、史を手招きする。

「大旦那がバスを二台手配した、カフェ・ルミエールまで近いけれど、寒いから」

史は、納得した顔。

「そうだね、打ち上げか」


母美智子も、史の前に来た。

「打ち上げ会場は、地下ホールだよ、もともとキャバレーだからセッティングもしやすい」


由紀も遅れて史の前、家族の輪に加わった。

加奈子と大旦那夫妻も一緒。


加奈子は、まだ目がウルウルしている。

「史君、良かった」

と、言ってきたので、史は少し笑って答える。


大旦那も奥様も、史をうれしそうに見ているけれど、史は誰かを探している。


そして、その「誰か」を見つけたようだ。


史は、珍しく大声を出した。

「里奈ちゃん、こっち!」

里奈も、史の前に走ってきた。


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