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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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クリスマスコンサート(7)

コンサートホールの第九は、第四楽章に入った。

演奏は練習以上に盛り上がり、聴衆も熱心に聴いている。

史は、楽屋をそろそろ出て、アンコールに備えなくてはならない。

史は、差し入れをしてくれた全員に頭を下げた。

「ありがとうございます、救われました」

史にとっては本音。

洋子他、カフェ・ルミエールの仲間たちと里奈もうれしそうな顔になる。


洋子が代表して

「うん、最後まキッチリとね、私たちはアンコールは客席で聴くよ」

と、史の手を握る。

史も

「わかりました、目一杯いきます」

と応え、いつものキチンとしたお辞儀をして、再び舞台裏に向かった。


さて、ホールの第九は、圧倒的な盛り上がりのフィナーレを迎えている。


史も

「うん、さすが、榊原先生だ、音楽が大きい」

「いつかは・・・」

その後は、史も聴くだけになった。

とにかく言葉を出すのが惜しいほど、大きな音楽だったのである。


その第九も終わり、圧倒的な拍手に指揮者の榊原と楽団員、合唱団が包まれた。

アンコールの声がかかり、榊原が数回、客席とステージを往復する。

史は、じっと出番を待つ。


その榊原から史に声がかかった。

「史君、そろそろ」

史も榊原に頷くと、ピアノが再びステージ中央に運び込まれていく。


そして、榊原と史は、再びステージに出ていく、

ホール全体が、再び拍手に包まれた。


榊原が聴衆に深く頭を下げて

「本日は本当にありがとうございます」

「アンコールに応えたいと思います」

また、大きな拍手に包まれると、榊原は由紀に目で合図。


由紀は、少し顔を赤らめて合唱団の中から出て、ステージの中央、史の隣に立った。

そして由紀も、すごいほどの拍手に包まれる。


また顔が赤くなってしまった由紀に、史が小声で

「姉貴、気合入れて、僕も入れる」

史は、いつもよりも厳しい顔をしている。


由紀は少しムッとしたけれど、それで落ち着いたようだ。

「うん、気合入れる」

と素直な真面目顔になった。


史は聴衆に深く頭を下げ、ピアノの前の椅子に座った。

榊原も指揮台に登った。


史はゆっくりと姿勢を正し、ピアノの鍵盤に手をのばす。

由紀も背筋を伸ばし、史の指を見つめている。


つい先程までのホールの大興奮は、静寂に変わった、

全員の目と耳が、史の指に集中している。

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