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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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よくわかっていない史

さて、軽食を終えた史は、地下ホールの練習場に戻った。

練習後に「クリスマスコンサートのアンコールの打ち合わせ」に参加するためである。


「まだ、第九の練習が終わっていない」

史は、練習が終わっていないことにホッとする。

ちらっと由紀の顔を探すと、由紀も合唱の中に入って歌っている。

少なくとも、今の時点で怒られることはない。

もっとも、史自身が「何故、そんなに怒る?」と、よくわかっていないのだけど。


それでも第九の練習が終わった。

指揮者の榊原が、史を手招きするので、史もステージに向かう。


榊原は

「ああ、アンコールの打ち合わせを上のカフェ・ルミエールでする」

「出席者は、私とコンサートマスターの高橋君、管楽器のリーダーの鈴木君と合唱団から一人、それから由紀ちゃんと史君」

と言ってきた。


「結局」またカフェ・ルミエールに戻ることになった。

そして、やはり由紀が言葉をかけてきた。


由紀

「史、さっきはどこに行ったの?」

「どうして、しっかり聞いていないの?」

「どうして誰とでも、ついていっちゃうの?」

「奈津美ちゃんとか結衣ちゃん、彩ちゃんだから、まだ大丈夫だけどさ」

「とにかく、史はアホで危なかしくって仕方がない」


史は

「アホは余分」

とムッとする。

「上でマスターたちとお話していた」

「いつでも戻れるようにビルの中にいた」

「それに、打ち合わせまで、用事がない」

と、事情を説明する。


由紀は、フンフンと頷き、

「あの時間にマスターたちとお話ってだけはないよね」

「もしかして、美味しいものを食べたの?」

「一人だけ?私、おなか減ったなあ」

「そういうことするんだ」

「ふーん・・・ふーん・・・」

途中から、何を察したのか、嫌味をタラタラ言ってくる。


そんな由紀に史は呆れた。

そしてつい

「姉貴だって、僕が大切に取ってあったベルギーチョコ食べちゃったでしょ?」

「すっごく楽しみにしていたのに、朝見たらない」

「母さんに聞いたら、姉貴が朝食べていたって」

必死に文句を言うけれど


由紀は負けてはいない。

「そんなの史が朝寝坊するから悪い」

「あのチョコだって愛華ちゃんから、もらったんでしょ?」

「そういう問題なものは、私が処分してあげたの」

「感謝しなさい」


史は黙ってしまった。

「どうせ、口では負ける、マスターに任せよう」


ただ、由紀の言葉に疑問を感じた。

「愛華ちゃんのチョコレートの、どこが問題なんだろう」

「濃いお酒でも入っているチョコかなあ」

結局、「よくわかっていない」史である。


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