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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
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由紀の洋子への相談

母美智子の態度に落胆した由紀は、洋子に相談をかけた。

洋子なら、お菓子の修行で、イタリアやフランスに長く留学した経験がある。

そこで由紀は、洋子に、史に「できればやめたほうがいい」と言うアドバイスを期待したのである。


由紀

「とにかく、史はひ弱でアホなんです、留学なんて絶対無理なんです」

「もうね、母美智子もアホなんで、後は洋子さんしかいません」

と必死に頼み込む。


それを聞いた洋子

「由紀ちゃんの真剣な顔が可愛い」と最初は笑っていたけれど

「ところで、お父さんとか大旦那には相談したの?」

と由紀に聞く。


由紀は、また真剣な顔で

「いやーーー父さんとか、大旦那に相談すると、危険もあるんです」

「あの二人だと、若い頃はそうでもいいんじゃないかって、言いそうなんです」

「そんなことになったら、即留学決定!ってなるでしょ?」

と言うけれど、洋子はフンフンと聞いている。


由紀は話だすと止まらない。

「マスターも、きっとそんな感じ」

「俺だって出奔したんだからとか言われれば、即決定ですしねえ・・・」

「涼子さんは、祥子ちゃんのお世話で相談するのも気が引けるし」


そこまで聞いて、洋子は

「そうかあ・・・じゃあ、史君と話をしてみるかなあ」

「どうなるか、わからないけどね」

ようやく、由紀の「お願い」を受けた。


由紀は、ホッとした顔になる。


ただ、洋子には、もう一つ言いたいことがあるようだ。

「ねえ、一晩、少し遅くなるかもしれないけどさ」

と言って、由紀の顔を見た。


由紀は「え?」となるが、

洋子は言葉を続けた。

「史君と食事させて」

「ゆっくり話をしてみたいの」

「いいかな?」


由紀としては、

「はい、わかりました、お任せします」

と頭を下げる。

洋子となら、母美智子も誰も文句は言わない。

ある意味、一番信頼できる「大人」である。

「ありがとうございます」と頭を下げ、店を出ていった。


さて、由紀を送り出した洋子は、フフッと笑う。

「まあ、由紀ちゃんも必死だ」

「あんなこと言って、史君がいなくなるのが寂しくて仕方がないんだ」


「でも・・・」


途中から顔が赤くなった。

「これで史君と、久しぶりにデートだ」

「何を食べさせようかなあ、どんな服を着ようかなあ」

「うーん・・・新しい服を買おうかなあ・・・」

「わーーー・・・ドキドキしてきた」

「うん、生きる希望がわいてきた」

洋子が、そんなことを思って顔を赤くしていると、奈津美、結衣、彩がそばに寄ってきた。


三人とも、ムッとした顔になっている。

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