史の京都散歩(20)
京都駅近くの豪華ホテルでの昼食は、珍しく中華料理だった。
加奈子
「ああ、母がたくさん食べてって、予約してくれた」
史は
「わーーー中華なんて久しぶり」
と、珍しく素直に感激している。
愛華は、そんな史が可愛らしくて仕方がない。
「史君、子供みたいや」
と言いながら、史の隣にピッタリと座り、前菜から何から、しっかり取り分ける。
出てきた料理は
大きな極彩色の鳥が羽を広げたような前菜。
中身は中華風のすり物、中華ハム、とにかく様々である。
そしてフカヒレの姿煮、これもしっかりこってりとしている。
八宝菜や北京ダックも出てくる。
その他、頼んだ注文もフルコースかそれ以上だったらしい。
とにかく、「出てくれば食べるしかない」状態が続いた。
史の興味対象の「カトリーヌ・ド・メディシス」について話をする予定であったけれど、若者三人は、食欲には勝てなかった。
史
「美味しいなんてもんじゃないなあ」
加奈子
「ダイエット当分無視」
愛華
「うん、そんなこと言ってられんわ」
史
「この翡翠炒飯が最高だなあ」
加奈子
「こってりと思ったけれど、スルスルお腹に入る」
愛華
「あら・・・ほんまや、色も緑できれいやなあ」
・・・・
そんな感じで、とにかく三人とも食べるだけの時間が続いた。
そして史が新幹線の乗る時間、別れの時間が近づいてきて、愛華と加奈子の顔が沈んできている。
それでも、最後のジャスミン茶とゴマ団子の時に
史
「本当にいろいろとありがとうございました」
「カトリーヌ・ド・メディシスとか、今後の話は、またいずれ」
と、ようやく思い出した。
加奈子
「そうやなあ、私も勉強しとくわ」
と言ったけれど、加奈子も思い出したことがあった。
「あ、もうすぐまた逢えるな」
「マスターの披露宴あるやろ、その時に」
加奈子の顔がパッと輝いた。
その言葉に愛華も反応した。
「あ!そうやった、愛華も招待されとるんや」
「わぁ、また史君に逢えるなあ」
「えへへ、楽しみやなあ」
と、ほぼスリスリ、さっと史の手を握っている。
さて、食事も終わり、史の見送りとして愛華と加奈子は、京都駅新幹線改札口までついてきた。
史が
「じゃあ、今回はありがとうございました」
「またマスターの披露宴の時にはよろしくお願いします」
と頭を下げると
加奈子
「はい!握手」
愛華も
「えへへ」
と、また握手。
それでも人の目もある。
史がすっと手を離して、もう一度頭を下げ、改札を抜け振り返ると、加奈子と愛華が手を振っている。
そこで史は気づいた。
「あれ?愛華ちゃん、泣いてる」
「どうしたのかな」
それでも、史が手を振ると、愛華は泣きながら手を振り続けていた。
史が、新幹線に乗り込み、ようやくホッとしているとラインのメッセージ。
相手は加奈子
「なあ、史君、由紀ちゃんから、里奈ちゃんって子の話を聞いたんやけど、それも愛華ちゃんに因果を含めたんやけどな」
「愛華ちゃんは、絶対に史君のことを諦めんって言うとる」
「愛華ちゃん、かなり芯が強いから、滅多なことでは・・・」
それを見た史
「うーん・・・」
完全にグロッキー状態である。




