史の柔道(2)
「とにかく、一度病院に行きなさい」
洋子は、史があまりにも痛そうなので、少し厳しい言葉。
由紀も同調した。
「嫌って言っても、連れて行くよ」
史としても、痛みも強く、嫌とは言えなかった。
洋子にタクシーを呼んでもらい、由紀に付き添われ、整形外科に行くことになった。
「はあ、これは、ひどいねえ・・・靭帯が痛んでいる、歩けないよ、しばらく」
史の右足首のレントゲン撮影と、触診をした松本医師が顔をしかめた。
「柔道の、どういう授業だったの?」
松本医師が尋ねると
「えっと、うさぎ跳びがあって、受け身があって、後は乱取りでした」
史が答える。
松本医師はさらに尋ねる。
「うさぎ跳びも足首を痛めて完治していない史君には危険だけど、受け身も危険かなあ・・・それで乱取りってどうやったの?」
「はい、勝ち抜き戦で・・・最後が柔道部の人で、最初足払いで足首を蹴られて、その時は我慢できたんだけど、少し身をかわしたら投げることが出来て、その時に足首がグキッて痛くて・・・」
史は、どうやら右足首を蹴られたらしい。
その後、柔道部員を投げる時に体重が、右足首にかかったのだろうか。
結局、史は右足首にギブス、松葉杖をついて帰ることになった。
「こうなると、大会どころじゃないね」
「授業中の事故にも相当するよ」
由紀は、少し呆れた。
そのまま、史の担任に電話連絡をしている。




