史の京都散歩(9)
加奈子との練習は、全く問題なく終わった。
史は、一旦、二階にのぼり、スーツに着替えて、またリビングに戻ってきた。
そんな史を見た加奈子
「ぷ!可愛い!」
孝、圭子、彰子も、可愛くて仕方がないようだ。
孝
「晃もかっこよかったけれど、史君は光っているね」
圭子
「うん、モデルさんみたい」
彰子
「芸能スカウトが寄ってくるのも、しょうがないねえ」
と、そんな感じである。
愛華は、また顔が赤い。
「うーん・・・音楽もすごいし・・・こういう服を着ても」
と、うっとり。
しかし、史にはさっぱりわからない。
キョトンとしているだけ。
ただ、それでも孝が声をかける。
「じゃあ、そろそろ出発しようか」
愛華も
「じゃあ、史君、加奈子ちゃん、よろしくね」
と、少し頭を下げる。
ということで、一緒に車に乗り込んだ史であるけれど、少し気になっていたことを思い出した。
史
「ねえ、今日のパーティーに集まる人って、どんな人たちなの?」
その質問に、加奈子が答えた。
加奈子
「うん、愛華ちゃんのご両親と、お友達、ご親戚筋」
「全員、立派な御家柄とご職業」
「三十人ぐらいかなあ」
「お食事も、すごいと思うよ」
愛華も答えた。
「そうね、史君にとっても、遠縁やね」
「もともと、私と史君も、かつては親戚や」
「だからな、こうして隣に座っていても、違和感が全くない」
加奈子は、クスッと笑う。
「そうやなあ、前世は、夫婦やったとか」
「ほんま、よう似合っとる」
加奈子の言葉に孝も反応した。
孝
「ああ、そうだねえ、いいかもしれない、この世でも」
圭子と彰子も、含み笑いをしている。
そんな雰囲気の中、史は困った。
「何?この人たち・・・」
「演奏前に、急にそんなこと言い出して」
「どこまで本気?」
珍しく口が「への字」になっている。




