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カフェ・ルミエール  作者: 舞夢
281/760

史の京都散歩(7)

史は

「じゃあ、荷物を置いてきます」

と、彰子と一緒に二階へのぼる。

しかし、加奈子も愛華も結局ついてくる。

その様子を見て、孝はククッと笑ってる。

「まったく、晃と一緒、史も女難の相だ」


さて、史は、彰子にドアを開けられて、史の父、晃が使っていた部屋の中に入った。

そして史は、驚いた。


「わ!すっごい!」

「壁一面に、本・・・」

「それも、源氏の写本から解説書がものすごい量」

「へえ、かなり昔、鎌倉時代の注釈書もある!」

「古文書の勉強もできる」

「え?こっちは?」

「万葉集、古今、新古今、勅撰・・・和歌だらけ」

「へえ、白氏文集もあるしさ」

それ以外にも凄まじいほどの本が、そろっているけれど、見きれない。

とにかく、珍しく史が興奮している。


彰子は、笑いをこらえきれない。

「だから、史君、大旦那も加奈子ちゃんも言ったやん」

「東京の大学ではなくて、こっちのほうが、史君に興味ある本がたくさん手に入るってなあ」

「そりゃ、音大なら東京かもしれんけど」

「古文をするんやったら、京都にしたら?」

「ここの家に住んだらええやん」

「家賃もいらん、晃さんも美智子さんも、由紀ちゃんも安心や」

「なーーんも心配はいらんて」

「この部屋の本も自由に読めるしなあ」

ついには、京都住まいまで、勧めてくる。


史は

「うーん・・・これを見てしまうと・・・」

それでも

「でも、光一さんは?」

孝と彰子の長男、つまり史の従兄弟のことを聞く。


彰子は

「ああ、当分、ニューヨーク支店、いつ帰ってくるかわからん」

「もうね、この広いお屋敷で、寂しくてしょうがないんや」

と、少し顔を下に向ける。


そんな史に加奈子

「なあ、おいでよ」

「こっちでも、知り合いが本当は多いはず」

「大丈夫、心配はいらんて」

そこで含み笑いをして

「なあ、愛華ちゃんも、おるしな」


愛華は、そこで顔が真っ赤。


史は

「え・・・意味わからん」

少し慌てた。

いつのまにか、史も京都弁になっている。

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