vs芸能スカウト(2)
由紀から連絡を受けたマスターは、さっそく動き始めた。
まずは芸能スカウトの顔を知っている産直市のメンバー大石に電話。
マスター
「演奏会もありますし、地域でも学園でも、ここの店でも期待していますので、情報があったら教えてください」
大石
「ああ、あの楽団には孫娘も入っているし、そこの史君が面倒なことに巻き込まれるのも嫌だ、それにマスターや涼子さん、洋子さん、史君のご一家とも懇意だし、お世話になっている」
「産直市のメンバーには全員、声をかけるよ」
マスター
「本当にありがたいことです」
頭を下げた後、大旦那にも連絡する。
連絡を受けた大旦那は
「ああ、由紀からも連絡があった」
「やはり史は目立つよなあ、音大などを歩けば、その手の輩が寄ってくる」
「ただ、まだ手出しも声掛けもないんだろう?」
「何かないと、警察は動かないなあ」
少し考えて
大旦那
「少しでも何かあったら知らせろ」
「私があちこちに連絡する」
大旦那も「何かの動き」で、即対応の構えになった。
そこでマスターは、史の一家に寄ってその旨、連絡をする。
晃
「毎回悪いねえ、マスター」
マスター
「そんなこと言わないで、家族のようなものだから」
美智子
「とにかく不安なの、やはり警察かなあ」
マスター
「いや相手が何もしないと警察は動かない、何かしてきても動かないくらいだから」
「大旦那には連絡したから」
マスターがそう言うと
美智子は
「恐れ多い・・・」
と言いながらも、少し安心した様子。
由紀はまだ難しい顔。
「史がキッパリ断ればいいんだけど、簡単には諦めないから、ああいうスカウトって」
史
「とにかく顔の半分隠れるくらいな大きなマスクをしよう」
史は、史なりに考えている。
マスターは史に
「ところで、次の練習の日には、美幸ちゃんに付き添ってもらうよ」
と言うので
史は
「え?お店は?」
「それにちょっと恥ずかしいし」
と尻込み。
すると美智子
「ああ、マスターと新作作るの」
「だから当分お店に行く」
マスターからは
「美幸ちゃんが、自分だけ史君とデートしていないって文句を言っているから」
史はポカン。
晃はクスクス。
美智子と由紀は、頭を抱えている。




