喫茶部アルバイトとしての史
史は久しぶりに、カフェ・ルミエールのアルバイトとして、珈琲と紅茶を淹れいている。
本来であるならば、史はカフェ・ルミエール喫茶部開店当時のメンバーで珈琲と紅茶を淹れる担当だった。
しかし、史が新聞部の他に合唱部や音楽部、カフェ・ルミエール楽団へ参加したこと、その後は手首の怪我などで、なかなかアルバイトができなかった経緯がある。
史は
「洋子さんと奈津美さんには迷惑をかけてしまって」
と頭を下げるけれど
洋子は
「いえいえ、最初は史君がいなかったら、どうなるかわからなかったし」
「音楽とかここのホームページでも協力してもらっているから」
と、史を責める気持ちは全くない。
奈津美も
「珈琲だって紅茶だって、史君のやり方で淹れているの」
「だから、頭なんて下げないで」
と、やさしい笑顔。
結衣と彩も話に参加してきた。
結衣
「本当に都合がつく時でいいからね」
彩
「無理だけはしないでね、これから寒くなるし、コンサートもあるから」
と、二人とも同じくやさしい。
史もそれを聞いてホッとしたようだ。
キッチンに入って、珈琲を淹れて持ってきた。
史
「ホンジュラスにしました」
それを飲んだ洋子たちが目を丸くする。
洋子
「うわ・・・落ち着く味」
奈津美
「蒸らし方かなあ、味も香りもふくらむ」
結衣
「華が開くような香りが最高だ」
彩
「後で、もう一度淹れて、録画する」
と、大好評。
史
「珈琲とか紅茶を淹れるのも好きです」
ニコニコと笑っている。
洋子
「マスターが、俺は史君の師匠だけど、負けたって言っていた」
クスッと笑う。
史
「そうかなあ、マスターにはかないません」
と謙遜。
そんな会話をしていたら、奈津美が
「ねえ、由紀ちゃんは?」
と聞いてきたので
史
「ああ、朝寝坊して、母に叱られていました」
「僕は、ソソクサと逃げるようにと」
ニヤッと笑う。
結局、史は珍しく一日アルバイトで、珈琲と紅茶を淹れ続けた。
来店客にも、やはり、好評。
史もうれしかったようで、すっきりとした顔で、帰宅していった。




