史と由紀のジャズ
史と由紀は、横浜からのお土産を持って、カフェ・ルミエールに入った。
史
「えっと、洋子さんにはシェフから挑戦料理」
「それと洋子さんには僕からもあるよ」
「結衣さんと彩さん、奈津美さん、美幸さんにも僕から」
ということで
洋子には、ホテルのシェフからの「挑戦料理」つまりケーキ、史からは中華の菓子と中華パンが渡された。
洋子
「ふむふむ・・・ナッツとドライフルーツのパウンドケーキか・・・」
「あれ?ココナッツミルクとココナッツバターを使ったの?」
「ふーん・・・風味が違うなあ」
面白そうな顔をする。
少なくとも、マスター、涼子、美智子よりは、飛びつきがいい。
そして
洋子
「わーーー中華のお菓子かあ、たまにはいいねえ、へえ蒸しパンと焼餅かあ」
「楽しくなる!史君大好き!」
シェフからのケーキより、はしゃいでいる。
結衣、彩、奈津美、美幸にも中華の菓子とパンがあるけれど、他にもある。
結衣
「あ!水兵さんのお人形?うれしい!」
彩
「私も欲しかった!」
奈津美
「さすが史君!いいなあ」
美幸
「わーーーベッドの脇において、毎晩お話する」
どうやら中華の菓子よりは、水兵人形のほうが人気がある。
ただ由紀としては
「何だ、私と一緒・・・これは史の発想がいい加減なせいだ」
「里奈ちゃんとラブラブ過ぎて、手抜きをしたんだ」
と思っても、さすがは姉、この状況では文句を言わない。
洋子は
「何か食べていく?」
と二人に聞くけれど
史
「母に追っかけられているので」
由紀
「もう逃げるようにして帰りたい」
と、既に腰を引いている。
すると奈津美
「ねえ、せっかくだから、史君ピアノ弾いて、由紀ちゃん、たまには歌って」
と言い出した。
洋子、結衣、彩、美幸も大賛成の様子。
史
「・・・どうする?」
由紀
「たまには歌うかなあ・・・」
史
「かもめの水兵さん?」
由紀
「このアホ!ジャズにする」
史は結局、頭をポカリされて、ピアノの前に座った。
そして弾きだした曲のイントロはジャズの名曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」
由紀もすんなりと歌い出す。
洋子
「上手い・・・これ・・・最高・・・」
奈津美
「うわ・・・毎日でもいい」
結衣
「さすが、息もピッタリ」
彩
「仲がいいね、それがうれしい」
美幸
「先生方の演奏も渋くていいけれど・・・これもいいなあ」
そんなことで、一曲を終えた史と由紀は、「ソソクサ」と店を出ていった。
後から来た、母美智子に、洋子が「史と由紀」の定例の演奏を頼み込んでいる。
さて、どうなることやら・・・(笑)




